2015 Fiscal Year Research-status Report
矯正学的歯の移動が大脳皮質の体性感覚誘導磁場に与える影響に関する研究
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15K11337
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
五十嵐 薫 東北大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (70202851)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金高 弘恭 東北大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (50292222)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 歯の移動 / 歯根膜刺激 / 脳磁図 |
Outline of Annual Research Achievements |
歯の移動に伴う痛みあるいは不快感は矯正治療における重大な副作用の一つであり、これから治療を受けようとする患者にとって大きな関心事でもある。そのため、この痛みの性質やメカニズムを明らかにすることは歯科矯正学において重要な課題であるが、従来の研究では主観的評価による手法が主に用いられており、未だその特徴が十分に解明されているとは言い難い。そこで本研究では、非侵襲的な脳機能イメージング法である脳磁図(MEG)とMRIを用いて、歯の移動に伴う痛みを脳の体性感覚野の反応として定量的、客観的に捉えることを目的とした。 当該年度は、歯に一定の間隔で打撃を与えるための歯根膜刺激装置製作を行った。本研究では大脳皮質錐体細胞の細胞内電流により生じる磁場を記録するため、磁場を乱すような金属をシールドルーム内で使用することができない。そのため、3Dプリンターで形成した樹脂を組み立て、圧縮空気の力で作動し歯に刺激を与えることのできる装置を製作した。しかしながら、この装置は安定した力を一定の間隔で供給することができなかったため、現在、装置の改良を進めている。また同時に、リニアアクチュエーターをシールドルーム外に設置し、精密機械によって安定した力を一定の間隔で与える装置も製作している。こちらはリニアアクチュエーターの制御プログラミングを行うところまで完了した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度は、まず始めに、MEG装置内で使用できる機械的刺激装置を作製し、その安全性と有効性を確認した後に被験者を募集し、第一段階として、矯正力を負荷していない成人ボランティアの歯に機械的刺激を加え、MEGによりSEFを記録する予定であった。しかし、刺激の圧と間隔を一定するためには精密機械によるシステム制御、磁場を乱さない材料の選択と機構が必要となり、これらの製作に多くの時間を費やしたため、そこまで至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで製作を続けてきた歯根膜刺激装置を早急に完成させ、シールドルーム内で試運転し、磁場への影響がないこと、被験者に対する安全性を確認する。測定条件が整い次第、今年度中に健常ボランティアを募り、実際に矯正学的移動を行った歯の歯根膜刺激に対する脳磁図の測定を行う予定である。
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Causes of Carryover |
当該年度は、まず始めに、MEG装置内で使用できる機械的刺激装置を作製し、その安全性と有効性を確認した後に被験者を募集し、第一段階として、矯正力を負荷していない成人ボランティアの歯に機械的刺激を加え、MEGによりSEFを記録する予定であった。しかし、機械的刺激装置の製作に多くの時間を費やしたため、そこまで至っていない。その結果、人件費・謝金の支出がほとんどなく、次年度使用額が生じたものである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
機械的刺激装置はまだ完成していないため、装置材料購入のために繰り越した研究費の一部を充当する予定である。その後、成人ボランティアを対象とした実験を開始し、当該年度に人件費・謝金として計上しながら使用しなかった研究費を使用していく。
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