2015 Fiscal Year Research-status Report
顎変形症手術後の顔の身体認知機構:先天異常と発達障害の影響
Project/Area Number |
15K11345
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
社 浩太郎 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (10303976)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 秀明 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (00263301)
留 和香子 朝日大学, 歯学部, 講師 (10437395)
山城 隆 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (70294428)
谷川 千尋 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (70423142)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 表情認知 / 運動制御 / 身体保時感 / 運動主体感 / 認知神経科学 / コミュニケーション / 顎変形症 / 先天異常 |
Outline of Annual Research Achievements |
<方法>平成27年度は 表情識別課題を対照群と実験群の患者に対して行った。:プロの役者(43 人)が,幸せ,悲しみ,怒り,恐怖,嫌悪,驚きの6 つの表情を作っている画像(Tottenham et al,. 2009)を患者に見てもらい,表情を分類してもらった.正当率と答えるまでにかかった時間を患者の表情認知能力の指標とした。また表情観察中の患者の視線軌跡を視線計測装置(X3-120,Tobii Technology AB)によって計測した。 <被験者>10名の成人女性の対照群被験者と片側性および両側性の唇顎口蓋裂を有する顎変形症患者5名と片側性および両側性の唇顎口蓋裂を有しない骨格性反対咬合の顎変形症患者20名、および自閉症を有する患者1名に対して、表情認知に関する行動実験を行った。<計測結果>表情情識別課題(視線計測なし)を術前の顎変形症患者10名に対して行ったところ,正当率は61.6±5.5%(平均±標準偏差)となり,同じ刺激を用いたTottenham ら(2009)が報告した健常者の正当率(79.1%)に比べて正当率が遥かに低い傾向が見られた.また、唇顎口蓋裂を有する者で自閉的傾向を有する患者は、有さないものに比べて、表情認知にかかった時間や正答率が低い傾向が認められた。また下顎前突を有する顎変形症患者は、表情認知位の際に下顔面を上眼面よりも比率が高い傾向が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の仮説に従うと,顎顔面部の運動不全をもつ患者群は,他者の顎顔面部の表情認知を苦手とするはずである。表情情識別課題(視線計測なし)を術前の顎変形症患者10名に対して行ったところ,正当率は61.6±5.5%(平均±標準偏差)となり,同じ刺激を用いたTottenham ら(2009)が報告した健常者の正当率(79.1%)に比べて正当率が遥かに低い傾向が見られた.この結果は,本研究の仮説を支持している。身体保時間と運動主体感についての実験系の確立について、設備品の完備がやや遅れ、実験の開始がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
顔の保持感に関する以下の行動学的実験を術前と術後の一定期間に行う予定である。: 画像モーフィング用ソフトウエアーにより、同じ年齢、性別の未知の人物の画像から自己へ1%ずつ変化する100枚の画像と、自己から未知の人物へ変化する画像を用意する。視覚認知タスク: 100フレームから成る動画を被験者に動画を見せ、自己画像と認知した時と、他者と認知した時にPCのキーを押すように指示する。視覚+触覚認知タスク:上記の動画像に2秒間隔にて筆先が右頬に接触する動画を見せ、時間的に同期した接触刺激を与える場合と同期しない接触刺激を与える場合で自己、他者と識別した反応時間についてのデータを得て、自己優位と認識しているフレーム数が多いほど自己顔の保持感が強いと判断する。
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Causes of Carryover |
視覚刺激用(顔モーフィングソフト)ソフトウェアーや数理処理用ソフトウェアーは機能の進歩が著しく、実験に必要な最適な選択を慎重に行わざるを得なかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
視覚刺激用(顔モーフィングソフト)および数理処理用ソフトウェアーの購入に充てる予定である。
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