2016 Fiscal Year Research-status Report
創傷治癒培養モデルを用いた口蓋裂術後瘢痕形成の制御に関する研究
Project/Area Number |
15K11358
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
石川 博之 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 学長 (20184492)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
沢 禎彦 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 教授 (70271666)
山崎 純 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 教授 (50230397)
梶井 貴史 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 准教授 (60322822)
中島 一記 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 助教 (80610980) [Withdrawn]
秦 省三郎 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 助教 (40736732)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 歯科矯正学 |
Outline of Annual Research Achievements |
口唇口蓋裂患者では、良好な鼻咽腔閉鎖機能の獲得のため、Push Back 法による口蓋形成手術が広く行われている。しかし、本法では、粘膜骨膜剥離後の創傷治癒過程で形成される瘢痕組織が、上顎骨および上顎歯列歯槽部の発育障害や咬合不全をもたらすことが知られている。そこで、我々はこれまでに、粘膜骨膜剥離を伴う Push Back 法による口蓋形成手術において、bFGF の局所投与により瘢痕形成の抑制と顎発育抑制の緩和をはかる新しい口蓋裂治療の確立を目指して、ラットを用いた動物実験により病理組織学的データを蓄積してきた。また、ラット皮膚三次元培養系を用いた in vitro の実験系によって、上皮が重層化する過程において恒常的に放出された TGF-β1 が線維芽細胞の α-SMA 発現を増強することを見出し、上皮-結合組織の細胞間の相互作用の重要性を明らかにしてきた。 そこで本申請課題では、創傷治癒時の瘢痕収縮における細胞の動態を追跡するために、ラット皮膚三次元培養系を構築を用いて、TGF-β シグナリングと、近年、創傷治癒における線維芽細胞の分化誘導に関与すると報告される Transient Receptor Potential(TRP)チャネルの関連性について検討を行っている。 TGF-β受容体阻害薬や、TRP チャネル活性化薬および阻害薬を用いて三次元培養ゲルの収縮率を計測したところ、TGF-β受容体阻害薬である LY364947、TRPV2 阻害薬である SKF96365 ならびに Tranilast によってゲルの収縮率が有意に減少することが明らかとなった。以上ことから、瘢痕収縮には、内在性に産生された TGF-β と TRPV2 チャネルが関与している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り、ラット皮膚三次元培養系を用いたゲル収縮に対する各種阻害薬の効果が認められ、real time PCR 法や ELISA といった生化学的検索も順調に行えているため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、TRP チャネルの発現や活性をみるために、免疫組織染色等の形態学的検索や real time PCR 法やカルシウムイメージング法等を行い、創傷治癒における TGF-β シグナリングと TRP チャネルとの相互作用をより明確にしていく予定である。
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