2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K11365
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
藤田 一世 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 講師 (00437386)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仲野 道代 (松本道代) 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (30359848)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 乳酸菌 / バイオフィルム |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、S. nutansが検出されないにも関わらず、齲蝕に罹患している小児が増加している。これらの小児の口腔内細菌叢を調べたところ乳酸菌群が検出されることが明らかとなった。乳酸菌については、S. mutansを原因としない齲蝕の発症において検出されることが多く報告されているが、その齲蝕発症メカニズムについては不明な点が多い。本研究の目的は、小児口腔内から乳酸菌を分離し、用いることによって乳酸菌による齲蝕発生メカニズムを解析し、口腔内における乳酸菌のバイオフィルム形成への役割を明確にすることである。 岡山大学医歯薬学総合研究科倫理委員会承認のもと、岡山大学病院小児歯科を受診された患児の齲蝕および健常部位よりプラークを採取し、乳酸菌の分離と同定を行った。これらの乳酸菌と、S. mutans MT8148株を用いて、スクロース依存性平滑面付着能およびバイオフィルム形成量の測定を行った。また2-コンパートメントシステムを用いてセルカルチャーインサート内で乳酸菌を、コンパニオンプレートにてS. mutansを同時に培養することにより、乳酸菌がS. mutansのスクロース依存性平滑面付着能に及ぼす影響について検討した。結果として、齲蝕部位から採取した全てのプラークから乳酸菌が分離されたが、健全部位からは30%の検出率であった。健全部位から検出された乳酸菌は、齲蝕部位から検出された乳酸菌と比較して、バイオフィルム形成量やスクロース依存性平滑面付着能が低下する傾向にあった。また乳酸菌を作用させて培養したS. mutans MT8148の付着率はS. mutans単独で培養した場合と比較して有意に上昇した。 小児口腔内齲蝕部位から分離された乳酸菌は健全部位から分離された乳酸菌と比較して、付着率やバイオフィルム形成量の上昇が認められた。また、乳酸菌を作用させるとS. mutansの病原性が上昇したことから、乳酸菌の存在は齲蝕の進行に深く関与している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
小児口腔内から、乳酸菌を分離することができた。それらの菌株を用いて生物学的特性を検討している。また、同一口腔内の齲蝕部位と健全部位からそれぞれ乳酸菌を分離し、それらの菌の生物学的特性を比較検討することによって乳酸菌による齲蝕発生メカニズムを検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに分離された乳酸菌を用いて、乳酸菌の表層タンパクのプロファイリングを行うことにより、乳酸菌による齲蝕発生メカニズムを明らかにする。具体的には、2次元電気泳動を行って、齲蝕発生部位から分離された乳酸菌と健全部位から分離された乳酸菌とのタンパクの発現状態を比較検討し、齲蝕の発生に関連すると思われるタンパクを同定する。
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