2015 Fiscal Year Research-status Report
MIH大規模実態調査によるリスクファクター分析および早期対応に向けた基盤構築
Project/Area Number |
15K11372
|
Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
本間 宏実 東京歯科大学, 歯学部, 助教 (80637760)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
櫻井 敦朗 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (90431759)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | MIH / エナメル質形成不全 |
Outline of Annual Research Achievements |
Molar-Incisor Hypomineralization (MIH) とは、1歯以上の第一大臼歯に加えしばしば切歯にも発症するエナメル質形成不全である。近年になって、MIHの報告が散見されるようになってきた。諸外国ではMIHに関する複数の報告がなされているが、日本におけるMIHの認知度は非常に低く、日本では未だ大規模な実態調査が行われていない。また、MIHの原因については、母親の妊娠中、新生児期から幼児期の間に母親または本人が罹患した全身疾患や遺伝子のバリエーションであるとする報告など、さまざまな因子が考えられているが、未だに究明がなされていないのが現状である。 本研究では日本国内におけるMIHの発症頻度や重症度を評価し、各患児の保護者に対して妊娠中、出産時、乳幼児期に罹った疾患や生活習慣に関するアンケート調査を行い、各患児のMIH 評価結果と照合し、MIH の原因になりうる因子と実際のMIHの状況について解析を行うこととした。 保護者から本研究に関する同意を得た対象者に対して、MIHの有無、程度に関して基準スコアを用いて評価した。対象児童に対し、小児歯科専門医が視診によりMIHの有無、程度に関する評価を行った。対象歯は第一大臼歯、中切歯、側切歯の最大12本とし、白濁や変色の範囲、歯質の実質欠損の有無から重症度別に分類した。1本以上の第一大臼歯に形成不全を認める対象者についてMIH有り群とし、各対象者の歯のうち最大のスコアをMIHレベルとした。MIHレベル2または3の児童は重度MIH罹患者に分類した。本研究におけるMIH罹患患者の罹患率は約11%で、MIH罹患者の約23%がMIHの重症度がレベル2以上に該当した。女児の罹患率が高い傾向にあったが有意差は認められなかった。MIH罹患者の罹患歯数の平均は約2本であった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在、対象となる患児については、MIH の評価のほか、対象となる患児の保護者に対し妊娠中、出産時、乳幼児期に罹った疾患や生活習慣に関するアンケート調査の実施を進めており、当初策定した研究計画書どおりおおむね順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
対象となる患児の保護者に対して妊娠中、周産期、乳幼児期に罹った疾患や生活習慣に関するアンケートを行い、得られた結果とMIHの程度を照合して、MIHの発症や重症度に影響を与える因子の解析を試みる。 内容は、過去の研究でMIH発症との関連が示唆された因子に関する対象児童および保護者の状況であり、以下の5項目が中心である。1. 母親が妊娠中にかかった病気、服用した薬剤、2. 分娩方法、3. 出生時の体重、4. 対象児童が3歳未満にかかった病気、服用した薬剤、5. 対象児童のフッ化物(フッ化物局所塗布、フッ化物洗口、フッ化物含有歯磨剤、フッ化物含有ジェル)の利用状況、利用していた時期。調査結果は対象児童のMIH評価記録と照合し、MIH発症との関係の有無について解析する予定である。
|
Causes of Carryover |
キャリブレーションに予想以上の時間を要したため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
保護者に対するアンケート調査結果に関しては、得られた回答と対象者のMIH評価記録を照合し、アンケートに対する回答の違いがMIHの発症や重症度に影響を与える因子の解析を試みる。MIHの原因は母親の出産前、または乳幼児期のどれか1つの因子のみによって生じるようなものではなく、複数の要因があると考えられ、これらの点を加味しながら統計解析を進めていこうと考えている。昨年度からの繰り越しに関しては、データの蓄積を図り統計解析等のために使用する予定である。物品費についてはすべて消耗品として使用する予定で、設備備品の購入は予定していない。
|