2016 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15K11373
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
荒井 清司 日本大学, 松戸歯学部, 助教 (90453886)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 脂肪幹細胞 / 間葉系幹細胞 / 歯の外傷 / 歯根膜細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
外傷により完全脱臼した歯を再植した場合, 予後を左右するのは歯根膜細胞の状態である。そこで、本研究の目的は、完全脱臼歯の動物モデルを作製し、脂肪由来幹細胞 (Adipose tissue Derived Mesenchymal Stem Cell:以下 Ad-MSC)の脱臼歯への応用により、脱臼歯の合併症である歯根吸収を抑制することができるかを検討することである。Ad-MSCは多くの間葉系幹細胞を含み骨芽細胞などの間葉系に即する細胞への分化能を有するとされており、調整が容易である利点がある。平成28年度は、平成27年度に引き続き、完全脱臼歯の動物モデルによるAd-MSCの応用の検討を行った。生後3年齢のビーグル犬から脂肪採取を行い, 無血清培地を用いて脂肪幹細胞培養を行い幹細胞マーカーであるCD13,CD29,CD105が検出できた。全身麻酔下で抜歯後、実験群は120分間牛乳に歯を浸漬し、Ad-MSCを歯根膜周囲に塗布し、再植後スプリントとコンポジットレジンにて固定を行った。対照群は、Ad-MSCを用いない歯とした。動物を安楽死させ、通法に従い、完全脱臼歯モデルにH.E.重染色およびTRAP染色を行った。対照群では、TRAP陽性細胞の存在から破歯細胞による歯の外部吸収が確認された。Ad-MSCを応用した実験群は、歯の外部吸収は抑制されている傾向が認められた。また、脂肪肝細胞の定着の局在について検討した。脂肪幹細胞を生細胞染色キットを用いてラベリングし、脂肪幹細胞局在を検討したところ、歯根の側壁において、実験群では明瞭な生細胞が確認できた。Ad-MSCに含まれる間葉系幹細胞による効果である可能性が示唆された。
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