2017 Fiscal Year Research-status Report
幼児の唾液中フッ化物イオンの至適濃度とそのコントロール法の検討
Project/Area Number |
15K11375
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
内川 喜盛 日本歯科大学, 生命歯学部, 教授 (00176679)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 幼児 / 唾液 / フッ化物 / イオン濃度 / う蝕 / ミュータンスレンサ球菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度に引き続き幼児の唾液試料の採取を行い、唾液中のミュータンスレンサ球菌レベルの測定を行った。唾液中フッ化物濃度の測定に関しては、フローインジェクション装置の故障により中断しており、新たに装置の購入を行った。新装置においても低濃度フッ化物イオン濃度の測定が可能であることを確認した。今後、収集した試料を用いて唾液中フッ化物濃度の測定を行い、う蝕との関連性を検討し幼児唾液中フッ化物の適正濃度を引き続き検討していく予定である。 また、本研究にて採取した幼児の唾液を用いて検査した唾液中ミュータンスレンサ球菌(SMS)レベルの資料の集計を行い、次の結果を得た。幼児980人を2歳から5歳の各年齢ごとに分けグループとし、ベースライン時のSMSレベルと1年後のう蝕の発症について検討した。その結果、各年齢グループでSMSレベルと新生う蝕指数と有意な相関を認めた。しかし、その相関係数は年齢グループごとに異なり、3歳児グループで最も高く、続いて4歳、2歳、5歳グループの順であった。また、SMSレベルとう蝕発症のROCカーブを用いて得られたカットオフポイントを用いたう蝕発症の相対危険度は2歳で最も高く3.19、3歳3.10、4歳2.17、5歳グループ2.18の順であった(p < 0.01)。併せて敏感度と特異度の合計は2,3,4,5歳グループでそれぞれ130,139,131,132と3歳グループが最も高かった。以上の結果から、幼児のSMSレベルはその後のう蝕発症と関連性が強いことが再確認され、SMSレベルの測定検査は3歳までに行うのがその後のう蝕発症の予測に効果的であることが分かった。 今後、幼児のう蝕予防を目的として、この唾液中ミュータンスレンサ球菌レベルと唾液中のフッ化物濃度の適正濃度との関連性を検討していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
故障していた本研究のメイン装置である低濃度フッ化物イオンを測定するフローインジェクション装置の修理を試みていたが、修理が困難となり、新たな装置を本研究費を用いて購入した。今後、現在まで収集した唾液試料を用いて測定を開始するとともに、新たな試料採取を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、メイン装置故障のため、唾液試料のフッ化物イオン濃度の測定ができず、進行は滞っていた。12月に新たな装置を購入したため、本研究期間を1年延長し、収集試料の測定を継続する予定である。幼児唾液中フッ化物濃度の測定結果とう蝕経験との関連性や唾液中ミュータンスレンサ球菌レベルとの関連性について検討していく予定である。
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Causes of Carryover |
本研究のメイン装置であるフローインジェクション装置の故障により、唾液中フッ化物濃度の測定ができず、その関連物品の購入を行わなかったため次年度使用額が生じた。装置の購入により来年度の測定は可能となり、研究期間を延長し、その物品購入に用いる予定である。
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Research Products
(1 results)