2016 Fiscal Year Research-status Report
新規サイトカインIL-17Cから歯周炎病態形成メカニズムを探る
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15K11383
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
伊藤 晴江 新潟大学, 医歯学系, 助教 (30397145)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 貴子 新潟大学, 医歯学系, 講師 (40303143)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | IL-17 / 歯周炎 / 歯肉上皮細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
歯周炎は歯周組織破壊を伴う炎症性疾患である。その原因は歯周病原菌による細菌感染であるが病態の主軸をなす歯周組織破壊は歯周病原菌それ自体の病原性というよりはむしろ病原因子に対する免疫応答の結果生じている。我々はこれまでに破骨細胞活性化カスケードに関与する事が報告されている炎症性サイトカインIL-17について、そのファミリー分子の一つであるIL-17Cの遺伝子が歯肉上皮細胞において高く発現している事を確認した。さらにはIL-17ファミリーの中でIL-17Cのみが細菌抗原刺激や炎症性サイトカインに応答して上昇することを確認した。 歯肉上皮細胞は物理的なバリアーとしての働きをもつとともに、常に対峙している口腔内細菌やその他の外来抗原に対する防御機構として自然免疫の誘導、さらには獲得免疫の発動を担う重要な歯周組織である。この歯肉上皮細胞においてIL-17Cが特異的に産生されることは細菌に対する防御機構において、IL-17Cが未だ解明されていない重要な役割を果たしている事を示唆している。 そこで歯肉上皮細胞におけるIL-17Cの機能を解明すべくヒト歯肉上皮細胞をIL-17を含む培養上清をもちいて刺激培養をおこなった。刺激培養を行ったヒト歯肉上皮細胞では、コントロール群に比べて4種の遺伝子において有意な発現の変動が認められた。今後はこれら遺伝子発現の変動がIl-17Cによるものか検証するとともにIL-17Cの歯周炎組織破壊への関与についてさらに解析をおこなっていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
IL-17C発現ベクターを用いてIL-17C過剰発現細胞株を樹立し、この細胞の培養上清より生物学的活性のあるリコンビナントIL-17Cを精製することを予定していた。Il-17C過剰発現細胞株の作成には至っているが解析に使用するための十分な量のIL-17C精製には至れていない事からやや遅れているとした。 リコンビナントIL-17Cの精製には至れていないものの、Il-17Cを含む培養上清そのものを用いて歯肉上皮細胞の刺激培養を行い、その機能について解明をすすめている。 また今後は培養上清を用いた実験を進めるとともに平行してリコンビナントIl-17Cの作成を行っていく予定としている。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒト歯肉上皮細胞においてIL-17Cを含む培養上清を使用した刺激によりその発現に変動の認められた遺伝子について解析を行う。すなわちsiRNAによるIL-17RA、IL-17REノックダウン時の発現変動を解析し、IL-17Cとの関連性を再検討する。 また、引き続き歯周炎罹患組織と臨床的歯肉炎組織のサンプル採取と歯肉組織におけるIL-17C関連遺伝子およびタンパク発現の解析を行う。
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Causes of Carryover |
Il-17C過剰発現細胞株の培養と培養上清からのリコンビナントIL-17の精製を予定し、そのための予算を立てていたが、安定した生物学的活性のあるリコンビナントIL-17の精製には至れておらず、研究計画通りにはすすんでいない。そのため実際の使用額と予算額との間に違いが生じている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
引き続きIL-17C過剰発現細胞株の樹立とリコンビナントIL-17Cの精製を予定しており、本年度からの繰越額はL-17過剰発現細胞株樹立のための試薬購入に使用予定である。
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