2015 Fiscal Year Research-status Report
マトリックス分解酵素カテプシンAが歯周組織再生に及ぼす影響
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15K11385
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
北垣 次郎太 大阪大学, 歯学部附属病院, 助教 (90570292)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 聡 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (40359849)
山下 元三 大阪大学, 歯学部附属病院, 助教 (90524984)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | カテプシンA / Ebelactone B / 歯根膜細胞 / 歯周組織再生 / ゲノムワイドアプローチ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、マトリックス分解酵素カテプシンAの硬組織代謝ならびに歯周組織再生への関わりを、分子レベルで解明することを目的とする。平成27年度の研究成果について以下に報告する。 まず、歯周組織構成細胞の一つである歯根膜細胞におけるカテプシンAの発現を、PCR法およびウエスタンブロット法にて確認した。実験には、マウス歯根膜細胞株(MPDL22)を供し、同時にポジティブコントロールとしてマウス筋芽細胞株(C2C12)を供した。 次に、MPDL22細胞における、選択的カテプシンA活性制御化合物Ebelactone Bの効果を検討した。MPDL22細胞を精製水にて懸濁した後、30 uMのEbelactone Bを添加し、カテプシンAの酵素活性を検討したところ、Ebelactone BがカテプシンAの酵素活性を減弱させていることが明らかとなった。以上のことより、MPDL22においても、Ebelactone Bは選択的カテプシンA活性制御化合物として効果を示すことを見出した。 そこで、MPDL22に30 uM のEbelactone Bを添加し、石灰化誘導培地で6日間培養後Ebelactone BのMPDL22の分化に対する作用を検討した。まずカテプシンAの酵素活性を検討し、Ebelactone Bがその酵素活性を減弱させていることを確認した。次に石灰化関連因子の発現をリアルタイムPCR法により検討したところ、Ebelactone Bは、オステオポンチン・I型コラーゲン・オステオネクチンの発現を有意に減少させた。 以上のことから、カテプシンAの酵素活性をEbelactone Bを用いて制御することにより、歯根膜細胞の骨芽細胞分化を制御できることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、カテプシンAが歯根膜細胞に発現していることと、選択的カテプシンA活性制御化合物Ebelactone Bが歯根膜細胞においてカテプシンAの酵素活性を減弱させることを確認することができた。さらに、Ebelactone Bが歯根膜細胞の骨芽細胞分化を抑制していることを見出した。以上のことから、本研究は当初の計画通り概ね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、選択的カテプシンA活性制御化合物Ebelactone Bの、歯根膜細胞における石灰化関連因子の発現に対する効果を検討し、カテプシンAの酵素活性が歯根膜細胞の骨芽細胞分化に重要な役割を担っていることを見出した。 平成28年度は、侵襲性歯周炎患者におけるカテプシンAのSNP解析を行う。すなわち、大阪大学歯学部附属病院口腔治療・歯周科を受診し、日本歯周病学会の診断基準に基づいて歯周病専門医にて診断がなされた侵襲性歯周炎患者について、事前に十分な説明を行いインフォームドコンセントが得られた患者から血液を採取しゲノムDNAを抽出する。得られた試料を基にカテプシンAのSNP解析を行い、侵襲性歯周炎患者と正常コントロール群におけるカテプシンAのSNP発現頻度を、カイ二乗検定を用いた統計学的手法によりオッズ比、p値、95%信頼区間を算出し、統計学的に有意差のある遺伝子多型を抽出する予定である。
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Causes of Carryover |
平成27年度にウエスタンブロット法を遂行し、選択的カテプシンA活性制御化合物の歯根膜細胞分化に対する役割を検討し、学会発表・論文投稿する予定であったが、ウエスタンブロット法では石灰化関連因子オステオカルシン・BSPの発現同定に至らなかった。そのため、計画を変更しリアルタイムPCR法での解析を行うこととした。以上のことより、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
リアルタイムPCR法でのさらなる解析を実施すると同時に、本解析結果の学会発表・論文投稿を次年度行うこととし、未使用額はその経費に充てることとしたい。
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Research Products
(5 results)