2016 Fiscal Year Research-status Report
マトリックス分解酵素カテプシンAが歯周組織再生に及ぼす影響
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15K11385
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
北垣 次郎太 大阪大学, 歯学部附属病院, 助教 (90570292)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 聡 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (40359849)
山下 元三 大阪大学, 歯学研究科, 助教 (90524984)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | カテプシンA / Ebelactone B / 歯根膜細胞 / 歯周組織再生 / ゲノムワイドアプローチ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、マトリックス分解酵素カテプシンAの硬組織代謝ならびに歯周組織再生への関わりを、分子レベルで解明することを目的とする。平成28年度の研究成果について以下に報告する。 日本人侵襲性歯周炎患者におけるカテプシンAの遺伝子多型解析を遂行した。すなわち、大阪大学歯学部附属病院口腔治療・歯周科を受診し、日本歯周病学会の診断基準に基づいて侵襲性歯周炎と診断された患者について、事前に十分な説明を行いインフォームドコンセントが得られた患者から血液を採取しゲノムDNAを抽出した。得られた試料を基にカテプシンAの遺伝子多型解析を行い、侵襲性歯周炎患者群と正常コントロール群におけるカテプシンAのSNPの発現頻度(MAF)を、カイ二乗検定を用いた統計学的手法により比較検討し、p値、オッズ比、95%信頼区間を算出した。 その結果、カテプシンAのSNP rs562182818を、疾患群と正常群との間でMAFに統計学的有意差のあるSNPとして抽出した。SNP rs562182818は、カテプシンAのCoding領域108番目の塩基TGが欠失することにより、アミノ酸配列がFrameshiftするSNPである。正常群でのMAFが34.69%であるのに対し、疾患群でのMAFは57.69%であることから、p値は0.016、オッズ比は0.39、95%信頼区間は0.18~0.86であった。さらにコンピューターによるタンパクの機能解析を行ったところ、SNP rs562182818により、カテプシンAの機能が著しく低下することが明らかとなった。 本研究結果から、カテプシンAのSNP rs562182818が日本人侵襲性歯周炎の疾患関連遺伝子であることを見出した。すなわちSNP rs562182818によりカテプシンAの機能が低下することで、侵襲性歯周炎が惹起されることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、日本人侵襲性歯周炎患者におけるカテプシンAの遺伝子多型解析を遂行した。その結果、カテプシンAのSNP rs562182818が日本人侵襲性歯周炎の疾患関連遺伝子であることを見出した。以上のことから、本研究は当初の計画通り概ね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、日本人侵襲性歯周炎患者におけるカテプシンAの遺伝子多型解析を行い、カテプシンAのSNP rs562182818が日本人侵襲性歯周炎の疾患関連遺伝子であることを見出した。 平成29年度は、カテプシンAのSNP rs562182818が、ヒト歯根膜細胞の骨芽細胞への分化にどのように影響するかを検討する予定である。すなわち、野生型カテプシンAのプラスミドにSNP rs562182818が挿入された変異型カテプシンAを作製し、野生型カテプシンAもしくは作製された変異型カテプシンAをヒト歯根膜細胞に過剰発現させ、石灰化関連因子(オステオポンチン、I型コラーゲン、オステオネクチンなど)の発現をリアルタイムPCR法ならびにELISA法にて検討する予定である。
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Causes of Carryover |
平成28年度に日本人侵襲性歯周炎患者におけるカテプシンAの遺伝子多型解析を遂行した。しかしながら、25検体程度の遺伝子多型解析を実施する予定が、15検体程度にとどまったため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
日本人侵襲性歯周炎患者におけるカテプシンAの遺伝子多型解析の結果、正常群と疾患群のMAFに統計学的有意差を認めるSNP rs562182818を同定した。そのため未使用額は、SNP rs562182818のヒト歯根膜細胞の骨芽細胞への分化に対する影響を検討する経費に充てることとしたい。
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] Sphingomyelin Phosphodiesterase 3 Enhances Cytodifferentiation of Periodontal Ligament Cells2017
Author(s)
S Miyauchi, J Kitagaki, R Masumoto, A Imai, K Kobayashi, A Nakaya, S Kawai, C Fujihara, Y Asano, M Yamashita, M Yanagita, S Yamada, M Kitamura, S. Murakami
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Journal Title
Journal of Dental Research
Volume: 96
Pages: 339-346
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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