2016 Fiscal Year Research-status Report
低酸素バイオロジーを体性幹細胞に応用した歯周組織再生能の賦活化
Project/Area Number |
15K11387
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
竹立 匡秀 大阪大学, 歯学研究科, 助教 (60452447)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 聡 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (40359849)
村上 伸也 大阪大学, 歯学研究科, 教授 (70239490)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 低酸素 / 間葉系幹細胞 / 歯周組織再生 / 細胞外基質 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、間葉系幹細胞移植による歯周組織再生効果を増大させることを目指し、同上幹細胞の至適微小環境を低酸素の観点から明らかにすることを目的とし、研究を遂行している。平成28年度の研究成果について以下に報告する。 脂肪組織由来多系統前駆細胞(ADMPC)を骨芽細胞へ分化誘導した後の、低酸素に対する応答性を検証するために、ベータグリセロリン酸、アスコルビン酸を含有した石灰誘導培地にてADMPCを6日間培養した後、1%あるいは20%酸素濃度にて培養を2日間継続した際の各種遺伝子発現をPCR法にて検討した。その結果、アルカリフォスファターゼやRunx2遺伝子の発現は、20%酸素濃度での培養に比べ、1%酸素濃度での培養で低下していることが明らかとなった。一方でI型コラーゲンやVEGF遺伝子の発現は1%酸素濃度の培養にて上昇することが明らかとなった。 一方で、歯周組織の低酸素応答について検討するために歯周組織構成細胞である歯肉線維芽細胞および歯根膜細胞を1%酸素濃度にて培養した際の細胞外基質産生について検討したところ、ウェスタンブロットおよび免疫染色による解析から、培養上清中のI型コラーゲンおよびフィブロネクチンの発現が上昇していることが明らかとなった。興味深いことにコラーゲン、フィブロネクチン両分子とも遺伝子レベルでの上昇は認められなかったことから、低酸素環境が転写後の修飾に関与していることが示唆された。なお、バーシカン、デコリン、バイグリカンの発現は酸素濃度の違いによる変化を認めなかった。 今後は、歯周組織構成細胞の低酸素応答がADMPCの細胞機能に及ぼす影響について検討を加える予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
動物実験については当初の予定よりも遅れがあるものの、in vitroの実験については一部前倒しで進捗していることから、研究全体の進捗状況としては順調と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度の結果を踏まえ、歯周組織構成細胞とADMPCとの相互関係に低酸素環境が如何なる影響を及ぼすかについて研究を展開する。また、同解析から得られた結果をin vivoにて検証するための実験系について再考する。
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Causes of Carryover |
本研究を遂行するにあたり、主に試薬およびプラスチック器具の消耗品の購入のために研究費を使用した。しかしながら、年度末に行った実験の一部が次年度にまたがることになったため、次年度に使用額が生じることになった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究計画に変更はなく、H29年度への繰り越しを含めて、当初の予定通り研究費を執行し、研究を遂行する予定である。
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Research Products
(5 results)