2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K11397
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
瀬名 浩太郎 鹿児島大学, 医歯学域医学部・歯学部附属病院, 助教 (60701117)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
迫田 賢二 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 助教 (70419654)
町頭 三保 鹿児島大学, 医歯学域医学部・歯学部附属病院, 講師 (80253897)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 歯周炎 / 骨細胞 / 歯周病原細菌 / サイトカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
歯周疾患は我が国においても極めて高い罹患率を示す口腔疾患であり、歯周疾患の病態メカニズムの解明により導かれる新規の予防法、診断法や治療法の社会的意義は極めて高いと考えられる。歯周疾患における歯周組織破壊の原因は主としてプラーク・歯石中の歯周病原細菌である。今日まで、この歯周病原細菌が歯周組織を構成している種々の細胞を刺激し、歯周組織破壊が起こると考えられているが、骨細胞の関与については不明である。 骨細胞は骨組織の中で最も数が多く、長寿命の細胞であるが、骨芽細胞や破骨細胞と比較し、その機能は解明されていない。近年、骨細胞および同細胞由来のサイトカインが骨代謝において中心的な役割を果たすと報告され、歯周疾患においても骨細胞が重要な役割を果たすと考えられる。本研究では骨細胞の歯周病原細菌への応答やそのメカニズムを解明し、歯周疾患に対する新たな診断および治療法の検討を行うことを目的とする。 初年度は骨細胞株および動物の頭蓋冠由来の骨細胞を用い、組織培養における解析を行った。1)歯周病原細菌に対するレセプターや関連分子の発現について、2)歯周病原細菌により誘導されるサイトカインについて、遺伝学的および免疫学的手法による解析を行った。 骨細胞株および動物の頭蓋冠由来の骨細胞の両方において、歯周病原細菌に対するレセプターや関連タンパクの発現を認めた。また、歯周病原細菌が骨細胞におけるサイトカインの産生を誘導した。骨細胞に関わる最近の知見より、骨細胞由来のサイトカインが骨組織の恒常性の維持に重要な役割を果たしていると示唆されており、歯周疾患においても骨細胞が役割を果たしていると推察される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験材料の入手および実験条件の設定に費やす時間が多く、やや遅れたが、順当に進行しており、次年度以降引き続き研究を遂行する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度に行った実験の結果より、骨細胞が歯周病原性細菌に応答することを示唆するデータが得られたほか、一部のサイトカインについて、歯周病原性細菌により、産生が誘導される知見を得た。この研究結果を受けて、骨細胞におけるサイトカイン産生に関わる研究を平成28年度に引き続き遂行する予定である。
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Causes of Carryover |
参加を予定していた学会に参加出来なかったため。また、予定していた研究のうち、細胞培養に関わる経費が見積もりよく少なくて済んだため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
細胞培養の実験を予定数よりも増やして研究を行い、消耗品代をその分多く計上する。
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