2016 Fiscal Year Research-status Report
糖代謝産物が歯周組織に及ぼす影響の解析と新規歯周組織再生誘導材の開発
Project/Area Number |
15K11400
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Research Institution | Ohu University |
Principal Investigator |
前田 豊信 奥羽大学, 歯学部, 准教授 (10382756)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
羽鳥 智也 奥羽大学, 歯学部, 助教 (10738165)
大須賀 謙二 奥羽大学, 歯学部, 講師 (90347948)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 骨代謝 / 脂肪分化 / フマル酸 / アミノ酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々の今年度の解析で明らかになったのは以下の3点である。 1.解糖系もしくはクエン酸回路に合流する糖原性アミノ酸それぞれの、歯肉周囲細胞分化における活性が異なっていた。すなわち、セリン、システインやアラニンなどピルビン酸に合流するアミノ酸とアセチルCoAに代謝されるアミノ酸であるリシン、ロイシンよりも2-オキソグルタル酸の供給に繋がるグルタミン、あるいはスクシニルCoAへ代謝されるバリンの方が、さらにはフマル酸を供給するチロシンフェニルアラニンの方が、活性が高かった。また細胞透過性のあるクエン酸回路中間代謝産物を用いることでも検証を行った。これらはTET遺伝子の発現量に変化を及ぼしていた。このことから、特定のクエン酸回路中間代謝産物の過剰な蓄積は、歯肉周囲細胞の分化を促進することが推察できた。 2.解糖系における中間代謝産物の増加は、未分化間葉細胞において脂肪蓄積抑制と石灰化の促進を起こしたが、この機構の1つは、AP-1活性を制御するものであることが判明した。また、これはFosにのみ作用をしその活性を制御するもであり、Junの活性を調整するものではなかった。さらに一度細胞外へ分泌されることで、プロテアーゼによる切断が起こり、機能発現部分が露出されることで、機能すると考えられる。 3.歯根膜コラーゲン線維の代謝に非常に重要であるゼラチナーゼの発現量は、嫌気的解糖により増加する細胞外乳酸濃度と関連していた。しかしながら、この変化は活性化を増加させるものではなかった。またこの調節機構は、一過性電位受容体を介したものであるととが解明できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
解糖系における中間代謝産物の増加は、未分化間葉細胞において脂肪蓄積抑制と石灰化の促進を起こした。当初、この機構に関与する分泌タンパク質のAP-1活性調整機構には、タンパク質のドメインが関与している可能性について検討していた。しかし、今回の解析結果から、分子内結合の一部が深く関与している可能性が示唆された。そこで、この結合が欠損したリコンビナントペプチドを合成し、解析を進めている。 また本研究の遂行に伴って、外因性アミノ酸がの一部が、ヒト骨芽細胞と歯肉線維芽細胞の増殖を制御する可能性が判明した。そのため、ホモシステインの関与も含めて解析を進めている。このために、研究計画の一部に遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
フマラーゼ、メチレンテトラヒドロ葉酸還元酵素、リンゴ酸脱水素酵素、乳酸/リンゴ酸脱水素酵素などの遺伝子発現制御を行うことで、細胞質内、ミトコンドリア内の歯周組織誘導に関与する糖・アミノ酸の中間代謝産物量を調節する。このことで、現在解明している機能をより明確にする。
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Causes of Carryover |
研究対象である分泌タンパク質解析において、当初予想していた部位とは異なる部分の関与が判明した。そのため、計画していた抗体の購入を取りやめたために、次年度使用額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験結果を踏まえて対象タンパク質合成を修正し作成しており、これを次年度に改めて実験に供する予定である。従って、今年度未購入の抗体試薬はターゲットを変更し、次年度に購入する必要が出る。この購入に次年度使用額を充当する。
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