2015 Fiscal Year Research-status Report
放射線治療における口腔粘膜炎発症因子と予防薬の網羅的解析に関する研究
Project/Area Number |
15K11409
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
細川 亮一 東北大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (40547254)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小関 健由 東北大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (80291128)
末永 華子 東北大学, 大学病院, 助教 (00508939)
菅崎 将樹 東北大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (50444013)
丹田 奈緒子 東北大学, 大学病院, 助教 (00422121)
佐久間 陽子 東北大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (90735531)
伊藤 恵美 東北大学, 歯学研究科(研究院), 技術専門職員 (80596817)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 口腔粘膜炎 / 細胞増殖 / 漢方薬 / がん支持療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在、細胞培養の研究を中心に成果を挙げつつある。本研究では口腔粘膜炎発症予防ならびに増悪の抑制に対して、半夏瀉心湯が創傷治癒を促進する効果を持つことを第一の仮説とし研究を開始している。創傷治癒において重要な細胞動態は、1)細胞増殖能、2)細胞遊走能、3)細胞外マトリックスの産生能が挙げられる。1)の細胞増殖能についてプレリミナリーな実験において、半夏瀉心湯の投与濃度依存的にBrdUの取り込みが増すこと、また細胞周期においてG2/M期の細胞が増えていることを免疫染色法にて示した。さらにこれまで得られた結果の検証と更なるメカニズムの解析を進めるためFACS解析とマイクロアレー解析を行った。 FACS解析では半夏瀉心湯の添加によって、S期後半からG2期の細胞が増えていることが示された。この結果は、これまでの結果を補強する結果であった。また、MTTアッセイ法にて細胞の活性を測定したところ添加から三時間後に細胞活性のピークを迎えその後細胞活性は、添加前のレベルに戻ることが明らかになった。この細胞活性は添加を行う度に三時間後のピークとその後の抑制を繰り返すことも明らかとなった。このことは数種類の生薬の組み合わせである漢方薬のブレーキとアクセルの両面を持ち合わせているという特性と一致し、コントロールされた細胞増殖が生じていることが示唆された。また、マイクロアレー解析の結果、細胞増殖能に関連する3つの遺伝子が増殖していることが明らかとなった。また、細胞遊走能については、半夏瀉心湯の添加によって抑制されることがプレリミナリーな結果として得られた。細胞外マトリックスについては今後検討が必要である。 現在は、細胞培養で明らかになった遺伝子群と患者から採取したサンプルから得られたデータを比較検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在、細胞培養実験は概ね順調に進んでいる。特にマイクロアレーの条件設定が終了しているため今後更なるデーターの蓄積が期待出来る。一方、患者データーについてはサンプル採取の為のプレリミナリーな実験を健常者で行っているが、マイクロアレーに必要なRNAの純度とその量を安定して生成する条件設定が予想より進んでいない。この点について、健常者において更なる検証と研究キットの導入等が必要となっている。特にサンプリングの方法については、放射線治療の患者であるため口腔粘膜炎を傷つけずに採取する方法を確立しなければならない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、細胞培養については1)マイクロアレーで示された増殖に関わる因子の調節機序について更なる詳細な検索を行っていく。また、現在は上皮細胞においてのみ検証を行ったが、今後は口腔粘膜炎間葉細胞についても半夏瀉心湯の添加実験を行い、その細胞動態を検索する。また、細胞遊走能と細胞外マトリックスの産生についても間葉細胞について検証を行い、上皮細胞と比較検討を行う。さらに上皮細胞と間葉細胞の三次元培養を行い、より粘膜に近い状態において創傷治癒における半夏瀉心湯の細胞動態について検証を行う予定である。 臨床面における研究(患者データーの採取)は引き続き、健常において採集方法とその遺伝子の生成法について数社からのキットを取り寄せ検証を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
本年度は条件設定に時間を要したためマイクロアレーに関する物品の購入を行わなかったため、一部繰り越しとなってしまった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は消耗品としてマイクロアレーチップの購入を行い使用する予定である。
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