2017 Fiscal Year Research-status Report
補綴物を含めた咬合が冠動脈性心疾患・脳血管疾患の発症および原因死に与える影響
Project/Area Number |
15K11410
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
山賀 孝之 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (90345512)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 咬合 / 補綴物 / 冠動脈性心疾患 / 脳血管疾患 / 生存分析 / コホート研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
歯の喪失は呼吸器系病死および冠動脈性心疾患(CHD)死あるいは脳血管疾患(CVD)死のリスクファクターとの報告があり,歯の喪失による咬合状態の悪化が疾患の発症そのものに関与した可能性がある。義歯やブリッジによって歯の喪失を補うことを補綴というが,我が国では歯科医療へのアクセスが容易なため,国民皆保険制度も相まって歯を喪失しても補綴処置が行われている場合が多い。したがって,歯の喪失やその結果生じる咬合関係の悪化が及ぼす影響を扱う場合,補綴介入の影響を考慮した結果の解釈が必要である。本研究の目的は,経年的な咬合の悪化と補綴介入による回復がCHDあるいはCVDの発症およびそれらの原因死に与える影響を検討することである。 当初の予定から対象地域を変更した。しかし,変更された地域では本年度は当初の予定であった歯科検診を実施することが困難であることが判明した。そこで,昨年度は歯科関連の項目を含めたアンケート調査票を作成し,対象地域の住民(40歳以上の成人男女)に対して郵送により送付した。昨年度の時点では歯科関連のアンケート項目は,11項目からなる内容の予定であった。しかし,調査主体が申請者らの属する機関では無いため,他学部や行政などの関係各機関との調整に手間取り,「歯数」,「歯周病の有無」,「咬合の不具合」の三項目のみとなった。 データの入力作業は終了し,アンケートが約34,000名,健診(血液生化学検査を実施)が7,300名分のデータが揃った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
データ入力およびアンケート項目のクリーニング作業に手間取り,分析作業に入れなかったことが最大の要因である。
|
Strategy for Future Research Activity |
ベースライン時の断面データではあるが,データセットの作成はほぼ終わったので分析作業を進めている。調査項目に制限が生じたため,当初予定の項目に関する検索は困難かもしれないが,現有データから得られる所見および今後のコホートモデルの構築の基礎となるデータセットの作成ができるものと考えている。また,アンケートのみならず実地調査の実現可能性についても模索している。 さらに並行して本年度は新潟市在住,平成2年出生(本年度満90歳)の高齢者378名に対して会場調査を行う予定である。こちらの対象者は死因や疾病の発生時期などの医学的詳細データの入手は困難だが,死亡時期などの追跡および調査開始時の口腔内に関する情報は十分に揃っている。
|
Causes of Carryover |
対象地域変更作業のさらなる遅れにより,アンケートによる調査への変更およびアンケート内容の変更を余儀なくされ,それらに関わる作業に時間を要した。したがって,当初多額に要すると見込まれた実地調査ための人件費,器材費および交通費が消費されなかった。しかし,再検討の結果,やはり実地調査も行う必要があろうという結論にいたり,可能であるならば最終年度以降に当初予算を繰り越し,それらを実地調査費および成果発表費用に充てたいと考えている。
|