2016 Fiscal Year Research-status Report
酸化ストレス制御による口腔癌予防と化学放射線療法時の口内炎発症予防効果の解明
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15K11418
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
玉木 直文 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学系), 准教授 (20335615)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 酸化ストレス / 口内炎 / 抗酸化力 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は,口内炎モデル(創傷治癒モデル)の動物実験を用いた研究を中心に行った。抗酸化物質としては水素水の摂取に着目し,酸化ストレス,炎症,増殖因子や創傷治癒に対する抗酸化物質(水素水)摂取の効果を検討することを目的とした。その方法として,まずラットの口蓋粘膜に直径3.5mmの実験的な創傷を発症させ,7日間経時的に創傷治癒の状態を確認した。ラットをランダムに2群に分け,飲料水として蒸留水か水素水のどちらかを与えて自由摂取させた。その結果,口蓋粘膜における創傷の範囲は,水素水を摂取させた群の方が3日目と7日目において閉鎖率が統計学的有意に高く,水素水の摂取によって創傷の治癒が促進されていたことが認められた。また,血清中の酸化ストレス度 (reactive oxygen metabolites),一酸化窒素代謝物 (NOx; 亜硝酸塩+硝酸塩),ニトロチロシン濃度と抗酸化力 (OXY吸着テスト)は,3日目と7日目おいて二群間に統計学的に有意な差が認められた。さらに口蓋粘膜における創傷治癒関連遺伝子の発現では,水素水摂取群の3日目において,transforming growth factor beta 1 (TGF-β1), fibroblast growth factor 7 (FGF7), vascular endothelial growth factor (VEGF)とalpha smooth muscle actin (αSMA)の発現が対照群に比べて有意に増加していた。これらのことから,水素水摂取には口内炎(創傷治癒)の早期において酸化ストレスを抑制し,創傷治癒関連遺伝子の発現を増加させる効果があることが認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は,ハムスターを用いた口内炎発症モデルについての研究を行った。抗酸化物質としてはレスベラトロールを用いて,口内炎の発症抑制が出来ることを確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は,現在の動物モデルを用いてさらなる研究を行っていく予定である。内容としては,酸化ストレスの測定や炎症の状態を確認し,抗酸化物質による抑制効果を検討していく。また,発癌モデルについての研究も併せて進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
発癌モデルによる動物実験を平成29年度に持ち越したため,物品費の一部も平成29年度に持ち越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度に口内炎モデルと平行して発癌モデルも開始し,持ち越した物品費が必要となる。
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Research Products
(4 results)