2017 Fiscal Year Research-status Report
歯周病と糖尿病によるNASH肝がん発症機序における相互作用解析
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15K11420
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
古堅 麗子 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (90253674)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 俊行 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 教授 (10170515)
林田 秀明 長崎大学, 病院(歯学系), 講師 (20238140)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 歯周病 / NASH / レジスチン |
Outline of Annual Research Achievements |
NASH患者の歯周病菌保有率は、健康な人と比べて約3.9倍もの高率で、歯周病のあるNASH患者に歯周治療を行うと3カ月後に肝機能の数値がほぼ正常になったとの報告もあることから、歯周病はNASHの2nd Hit に関与している可能性がある。我々は、これまでに歯周病と全身疾患との関連を解析することを目的として、脂肪細胞が産生するサイトカインであるアディポカインの1つ、レジスチンの末梢血中の濃度が、歯周病を有する者では有意に高いことを明らかにした。ヒト肝細胞と肝がん細胞を単独またはヒト由来単球・好中球・単球系細胞と共培養し、歯周病関連細菌由来LPSで刺激後の各種細胞のケモカイン産生と活性酸素(ROS)、接着因子発現の変化をみる。また、レジスチンやアディポネクチン、TNF-αや高血糖と併用でのLPS刺激後の細胞の変化について確認する。各種シグナル伝達阻害剤での変化やレジスチンとMMP-9の合成siRNAを遺伝子導入した細胞において、発現の変化とシグナル伝達経路を解析する。イメージングサイトメーターにより、細胞の形態変化と発現の強さとの相関を解析し、相互作用を詳細に解析する。リンパ球、マクロファージ、脂肪細胞が産生する各種サイトカインやケモカイン、アディポカインがメタボリックシンドロームやNASHの進展に寄与していることが報告されている。歯周病により、単球や好中球から放出されたレジスチンやMMP-9が直接、NASHや発がんに影響を与える可能性も考えられるが、歯周病と肥満による慢性炎症が産生した各種サイトカインやケモカインがその相乗効果により、全身へ与える影響をより大きくする可能性もある。本研究では、各種サイトカイン、ケモカイン、アディポカインの相互作用に加えて酸化ストレスの指標となる活性酸素種 reactive oxygen species (ROS)の発現の変化にも着目した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各種細胞培養については順調に進んでおり、サイトカインやケモカイン、アディポカイン測定については進展しているが、活性酸素の測定については、安定した結果が得られておらず、様々な方法で試行錯誤している状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞については、量的な研究については順調であるので、今後イメージングサイトメーターにより、細胞の形態変化と発現の強さとの相関を解析し、相互作用を詳細に解析する予定である。
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Causes of Carryover |
実験自体は順調に進んでいるが、イメージングサイトメーターを用いた形態的、量的な解析に至っていないため、使用予定である抗体をまだ購入していないこと、また遺伝子導入した細胞を用いる予定であるが、その点も今から準備する段階のため、遺伝子導入する際に用いる試薬についても今後購入予定であるため、使用額に差が生じている状況である。
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