2017 Fiscal Year Research-status Report
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15K11422
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
筑丸 寛 横浜市立大学, 医学研究科, 客員研究員 (80217231)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上田 敦久 横浜市立大学, 医学研究科, 客員研究員 (60295483)
光藤 健司 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (70303641)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | HIV感染者 / 口腔がんスクリーニング / 前癌病変 / 口腔癌 / HPV |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、先行研究で口腔前癌病変の診断が得られた病理組織検体の残検体よりHPVの検索を行った。今回は14検体のパラフィンブロックについてマルチプレックスPCR法(PapiPlexTM)でHPVTypingを行ったがいずれの検体からもHPVは検出できなかった。この結果の評価についてはさらに検討の必要性がある。平成27年度および28年度では60例のHIV感染者について、口腔がんスクリーニングを実施した。スクリーニングは先行研究から変更した新しいプロトコールに基づき行い、60例全員についてHPVの検索も行った。結果は、今回のスクリーニングでは口腔癌は見られなかった。口腔前癌病変は、先行研究で診断された例も含めると、12例に認められた。前癌病変の内訳は白板症10例、紅班症1例、扁平苔癬1例だった。口腔内擦過細胞によるHPVの検索はパラフィンブロック同様にマルチプレックスPCR法(PapiPlexTM)でHPVTypingを行った。結果は5例からHPVが検出され、HIV感染者のHPV陽性率は12%だった。平成29年度研究ではこれらの結果の解析を行った。解析結果で、HIV感染者では、HPV11など、ローリスク型の 感染も無視できないことが確認された。本研究では、HIV感染者のがん発生のリスクのみならずHPV感染 様式の解明も必要となるため、ローリスク型の検索を追加を計画した。また、これまでの結果をまとめて16TH EUROPEAN AIDS CONFERENCE. October 25-27, 2017. Milan, Italyにて発表した(演題名:Persons Living with HIV Are at High risk of Developing Precancerous Lesions of the Oral Cavity)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
口腔前癌病変の組織からのHPV検索に関しては、当初予定していた、先行研究で採取した検体14例についての検索はすべて終了している。しかし、結果はすべて陰性で、この結果の評価に関してはまだ検討の余地があると考える。口腔がんスクリーニングに関しては、新たに60例について実施され、先行研究と合わせて91例のスクリーニングが終わっておりおおむね順調と考える。口腔内擦過細胞によるHPV検索に関しては、新たに口腔癌スクリーニングを実施した60例について検索が行われた。これまでに60例全例のHPVTypingが終了している。結果も5例に陽性例がみられ、検索方法に大きな問題はないものと考えられた。また、本研究の成果は国際学会(16TH EUROPEAN AIDS CONFERENCE. October 25-27, 2017. Milan, Italy)に採択され発表した。以上の状況から、本研究はおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
口腔前癌病変の組織からのHPV検索に関しては、パラフィンブロックについての検索結果がすべて陰性であった。この結果の評価のためにパラフィンブロックについてはコントロール検体の検索を実施する。また、新たに口腔がんスクリーニングで確認された病変の生 検の際にはHPV検索用の新鮮標本を確保して新鮮検体とパラフィンブロックの検出率の差についても検討を行う。口腔がんスクリーニ ングについては、基本的にはこのまま研究を進め症例数を増やす予定でいる。スクリーニング方法、追加は現在のところ考えて いない。症例数に関しては若干不足気味であったので、今後は対象患者への呼びかけをさらに積極的に行う。口腔内擦過細胞によるHPV検索についても、基本的にはこのまま研究を進め症例数を増やす予定でいる。本研究で、HIV感染者では、HPV11など、ローリスク型の 感染も無視できないことが確認された。本研究では、HIV感染者のがん発生のリスクのみならずHPV感染 様式の解明も必要となるため、ローリスク型の検索をさらに詳細に行う。
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Causes of Carryover |
これまでの研究で口腔がんスクリーニングを実施した症例数が当初の計画より少なかった。これに伴い、口腔擦過細胞からのHPV検索の検体数も当初より少なくなり検査費用に残余が生じた。 平成30年度研究では、積極的に対象者への声掛けを実施することにより、症例数の増加が見込まれる。この増加した症例に対する検査費用に充当する。また、平成27年度に実施したパラフィンブロックからのHPV検索については、検索結果の妥当性を評価するために、当初予定していなかった追加の検索を必要とする。この検索のための費用に充当する。さらに、これまでの研究でローリスク型のHPVについても詳細に検討する必要があることが明らかになったため、この検索のための費用にも充当する。
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Research Products
(1 results)