2017 Fiscal Year Research-status Report
低濃度フッ化物による老化・寿命制御の分子機構の解明
Project/Area Number |
15K11433
|
Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
荒川 浩久 神奈川歯科大学, 大学院歯学研究科, 教授 (00130906)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
Bhawal Ujjal 日本大学, 松戸歯学部, 助教 (50433339)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 低濃度フッ化物 / 老化 / 寿命制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
マウスの健康状態を観察後、抗生物質を服用させ、口腔常在菌を減少させた後、PBSで作製し、NaF 粉末をイオン交換水に溶解して調整したμMレベルの低濃度Fを常時摂取させた。 F投与後、1ヶ月、2ヶ月および3ヶ月で屠殺後、試料を回収した。歯槽骨吸収量の評価は、マイクロCTによる解析、およびFLOVEL タブレット操作型ビデオミクロメータを用いてセメントエナメル境から歯槽骨頂までの距離を測定することで行った。また、骨芽細胞活性を評価するため1型コラーゲン、ALP(アルカリホスファターゼ)、OPN (オステオポンチン)、OCN (オステオカルシン)の発現を免疫組織学的に評価した。破骨細胞活性を評価するためTRAP (酒石酸抵抗性酸性ホスファターゼ)染色およびカテプシンK、MMP-9 (マトリックスメタロプロテアーゼ-9)、MMP-2 (マトリックスメタロプロテアーゼ-2)の発現を免疫組織学的に解析した。これらよりF摂取による骨吸収、炎症、破骨細胞活性化に及ぼす影響を明らかにした。老化細胞の制御機構を明らかにするため、マウスを用いてゲノムワイドにスクリーニングを展開し老化細胞制御遺伝子を同定、さらに転写因子による歯肉上皮、骨組織への影響を明らかにしたことで、老化細胞の生理的機能の解明のみならず、異常活性および機能不全で誘発される代謝性、自己免疫性骨疾患のメカニズムを解明した。低濃度フッ化物は、将来的には歯周組織のアンチエイジングの創薬の一助となることを示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究は、歯肉上皮に対する低濃度フッ化物の影響を解析し、将来的には歯周組織のアンチエイジングの創薬の一助となることを目指した。しかし、分担研究者の留学や動物実験の困難により研究実施が予定より大幅に遅れ、その累積により研究期間が終了した時点で、まだデータ収集が継続中である。また、予備実験検討を重ねた結果,当初予定していた概念では明らかにしたい現象を捉えることができないことが考えられ,そのためにさらなる予備実験検討を要したことも大きな理由となっている。具体的には、平成29年度は得られたHIF-1αトランスジェニックマウスの個体数が平成29年度の計画予定に達せず、その分、実験数も限られてため消耗品、試薬などの使用が少なかった。また、学会投稿料および学会発表のための旅費などが発生しなかった。今後、さらにHIF-1αトランスジェニックマウスを作成し、遅れていた平成29年度分の実験を行うために使用する。研究期間の終了までに発表できるデータを収集するまでに至らなかったことは大きな誤算であったが、研究の方向はほぼ当初の計画通り進んでおり、成果が期待できるものと考える。今後これらの点を十分考慮した上で研究を続け、本研究のために費やした補助金を無駄にすることなく、成果を挙げるよう努力する所存である。
|
Strategy for Future Research Activity |
F摂取による骨吸収、炎症、破骨細胞活性化に及ぼす影響を評価する。実験動物より得られた歯槽骨における骨質の解析は、原子吸光法、Fイオン電極法を用いたミネラル(Ca、F)の定量分析を行う。またマイクロCTによる骨形態計測学的パラメーター(骨梁幅、骨梁間距離、骨梁数、骨量)を評価する。
|
Causes of Carryover |
分担研究者の留学や動物実験の困難により実験が予定より大幅に遅れ、研究期間が終了した時点でまだデータ収集が継続中である。そのため、消耗品、試薬などの使用が少なかった。また、論文投稿料も発生しなかった。 一年間研究期間を延長し、平成30年度に実験を完成し、学科う発表および論文作成など、成果をあげるよう努力する所存である。
|