Outline of Annual Research Achievements |
これまで第1段階として歯周病培養モデルにおいてプラセンタがヒト歯肉線維芽細胞に対して細胞増殖能, コラーゲン産生能,炎症性サイトカイン抑制能を確認できた. 次にプラセンタの骨再生能の可能性を探求するために, 骨を司る骨芽細胞への影響を検討した. 細胞はヒト骨芽細胞様骨肉腫細胞株(Saos-2)への増殖能, コラーゲン産生能およびALP分泌への効果を解析した. 細胞増殖能はMTT assay とBrdU Cell Proliferation Assay Kit,Collagen 産生能はELIS 法で解析した.ALP産生能は LabAssay ALP kitを用いた.本実験で用いたヒト由来プラセンタは, Saos-2への増殖能, コラーゲン産生能, ALP分泌能を確認できた. 既にヒトの胎盤エキスは注射薬, ブタの胎盤エキスは漢方薬や健康食品, 化粧品に利用され安全性は高い.プラセンタは, 基礎代謝向上, 細胞活性化, 疲労回復, 自律神経調節, 免疫強化, 活性酸素除去, 創傷回復促進, 抗炎症作用など種々の生理活性物質を含有している. またプラセンタには, タンパク質・脂質・糖質の三大栄養素や少なくとも100種類を超える酵素が含まれていることも確認されている. また, 増殖様因子が含有されている報告もある. 本実験結果から, 組織再生や抗炎症作用は, 増殖因子様物質の関与を推測するが, 本剤の有効成分を単一または数種の物質に特定することはできない. 現在, 薬理作用は解明中であるが, 組織再生能力や抗炎症作用の可能性があるならば, 歯周組織再生やインプラント治療の併用療法として対して有効であると考える. 例えば,インプラント治療を施す場合に周囲の軟組織の再生や歯周病菌に対する炎症を抑制する物質があれば創薬の候補となると考えている.
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