2016 Fiscal Year Research-status Report
禁煙指導・禁煙支援のウェブベースの卒前臨床教育・卒後生涯研修プログラムの開発
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15K11441
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
埴岡 隆 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 教授 (00144501)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小島 美樹 大阪大学, 歯学研究科, 招へい教員 (20263303)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 禁煙 / 受動喫煙 / 歯科医師 / 歯科衛生士 / 臨床教育 / 卒後研修 / WHO / トレーニング |
Outline of Annual Research Achievements |
国民の重大な健康負担になっている歯科疾患およびNCDsの共通リスクとなっているたばこ対策により、国民に多大の恩恵をもたらすことから、歯科医療従事者の役割が期待されている。しかし、臨床での実施は不十分で臨床教育への導入も遅れており重要な機会が失われているため、効果的で持続性のある教育研修プログラムを開発し全国への適用を目指す。 WHO介入プログラムについて、トレーニングプログラム等を参考にして、新たなトレーニングのモジュールを策定した。平成27年度に開発した構成要素のモジュールは講義による教育研修に利用し、本年度に開発したモジュールは、実習・演習に利用することを目的とし平成28年度はウェブベースのレイアウトの豊富化・充実が達成できた。 WHOとIOCはタバコのない五輪開催で合意しており、2020年の東京オリパラ開催に際して、受動喫煙対策の強化が厚生労働省により進められつつある。一方で、わが国はWHOタバコ規制枠組み条約に批准しているにもかかわらず、WHOからは、わが国の取り組みは世界最低レベルと評価されており、とりわけ、受動喫煙対策は格段に遅れている。そこで、受動喫煙と口腔の健康の関係についてのエビデンスを定性的および定量的に統合し、このエビデンスに基づいて、WHO介入プログラムには、受動喫煙防止支援のトレーニングモジュールが用意されている非喫煙者への受動喫煙防止の支援の5AとMAD-TEAによるトレーニングモジュールを追加し受動喫煙防止モジュールを充実した。 これらのモジュールについて、昨年度にウェブベースの階層化を視野に入れて制作した、5A, 5R, MI, バイオフィルムコントロールの各モジュールを構成要素とする研修版e-learning プログラム基本レイアウトをもとに卒前教育・卒後研修の一貫タイプの教育プログラムを策定し、実際の講義および実習で試用した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初採用予定だった米国禁煙治療ガイドラインをプライマリケア向けのWHOの簡易タバコ介入プログラムを歯科に統合する方針の変更を行い、さらに、WHOとIOCがタバコのないオリンピックで合意している東京オリパラ開催に向けての受動喫煙防止に関連する受動喫煙防止支援介入を新たに追加したため、イフェクティブネス研究の平成28年度中の開始が平成29年度にずれこむため。また、喫煙曝露による口腔細菌への影響に関する内容については、関係を説明することはできても実際の教育研修に繋げる教材が不十分であり、この点での教育研修内容を一層充実させる必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
実施が遅れているイフェクティブネス研究については、予防歯科領域で歯学・歯科衛生教育に関わる専門家を集めたワークショップでの展開を図ることとした。また、教育研修に関わるモジュールの策定については、タバコ煙曝露へのレジリエンス機能検査の一環として、タバコ煙曝露と口腔マイクロバイオームとの関係の構成およびトレーニングモジュールの追加・充実を図り、コモンリスクファクター・アプローチのアウトカム基盤型教育・研修プログラムの完成度を高める予定である。
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Causes of Carryover |
まず、教育研修の基盤プログラムを米国禁煙治療ガイドラインから、より国際的な展開を図るためにWHO簡易タバコ介入プログラムに変更したために、後者がより歯科診療にフィットしており、エフィカシースタディーのためのモジュール充実が図れたことにより成果が充実したが、その一方で、イフェクティブネス研究の開始が遅れたため、謝金の消費が少なかった。もうひとつは、バイオフィルムコントロールの教育研修内容の面で、エビデンスについては充実することができたが、内容について教育研修に生かすためのトランスレーショナルな教材が購入できず、物品費の消費が少なかったためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度はWHO簡易タバコ介入プログラムのイフェクティブネス研究を準備しており、研究の展開により人件費および謝金を使用する予定である。物品費については、口腔細菌の定量ができる装置を購入する予定であり、この装置を用いて、喫煙によるレジリエンス機能への影響についての教材の拡充を図る。
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