2018 Fiscal Year Research-status Report
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15K11442
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Research Institution | Aichi Gakuin University,Junior College |
Principal Investigator |
犬飼 順子 愛知学院大学短期大学部, 歯科衛生学科, 教授 (40319190)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | フッ化物 / 脱灰 / 再石灰化 / ヌープ硬さ / 表面粗さ / 摩耗量 / 浸漬パターン / フッ化物イオン濃度 |
Outline of Annual Research Achievements |
フッ化物の作用時期と,F-濃度のヒトエナメル質表面性状への影響をその硬度と表面粗さおよび摩耗量により検討した. 56個のエナメル質試料を作成し,浸漬パターンとして,脱灰後NaF溶液に浸漬し,その後人工唾液で再石灰化させるパターンおよび脱灰後フッ化物添加人工唾液え再石灰化させるパターンに設定した.また,F-濃度は3種,500,1000,1500 ppmFに設定した.試料を対照群とそれぞれの浸漬パターンとF-濃度パターンを組み合わせた7群に分け,各溶液に繰り返し浸漬した.処理前と処理後に試料のヌープ硬さおよび表面粗さ(Ra, Rq, Rku),摩耗量を測定し,浸漬パターンとF-濃度パターンを要因とする二元配置分散分析とTukeyの多重比較で分析した. 試料のヌープ硬さはフッ化物作用群が,非作用群と比較して有意に高かった(p<0.001)が,浸漬パターン,およびF-濃度パターンのどちらの要因も有意差は認められなかった. Raおよび摩耗量は浸漬パターン間に有意差が認められたが(p<0.05),多重比較による有意差は認められなかった.また,二元配置分散分析の結果フッ化物の作用時期で再石灰化時に人工唾液作用群は単独作用群と比較してRa, Rqが有意に小さく(p<0.05),Rkuが有意に大きく(p<0.05),摩耗量は有意に少なかった(p<0.05).しかしF-濃度によって有意な表面性状の違いは認められなかった.したがって,人工唾液中のフッ化物の作用時期はエナメル質の表面性状に影響しているがF-濃度との関連が認められず,500 ppmFを超える高濃度のフッ化物はエナメル質の脱灰抑制・再石灰化には十分な濃度であり他のミネラルの存在が影響すると考えられた.また、高濃度フッ化物は長期間歯質とフッ化物が作用し,より再石灰化,脱灰抑制作用を示すと推測された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究は当初の予定を適宜軌道修正しながら進行させ、学会発表を行うことでその成果を蓄積させ、再評価したことができたためである。
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Strategy for Future Research Activity |
歯の酸蝕症のメカニズムさらに追及するために、最終年度の今年度はこれまでの成果から、研究条件をより口腔内の条件に模し脱灰・再石灰化における再石灰化の時間とこれまでに多くの研究者が扱ってきた数種の人口唾液を用いてヒトエナメル質試料を脱灰・再石灰化をサイクルさせ、研究条件がヌープ硬さや表面性状に与える影響について検討する。研究を遂行する上での課題は近年は超高齢社会になっており、高齢者の口腔内に多く存在する根面う蝕やインプラント、補綴物への酸蝕の影響とそのメカニズムについても検討していくことが課題である。
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Causes of Carryover |
昨年度は研究の成果が一部まとまり、海外での学会発表を行うため、交付金額の変更を行い旅費として支出した。計画の段階で旅費の支出額が不明確であったため、残金が発生した。今年度は申請時の研究計画を遂行するため、さらに実験を追加する予定であり、残金は研究実施のため物品費として使用する予定である。
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