2017 Fiscal Year Annual Research Report
Effect of food preference on masticatory muscle activity and neural activity during mastication period.
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15K11445
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
本間 志保 大阪大学, 歯学研究科, 招へい教員 (40372627)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
脇坂 聡 大阪大学, 歯学研究科, 教授 (40158598)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 摂食嚥下行動 / 嗜好性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではフレーバー刺激の負荷が身体に及ぼす影響を、摂食嚥下時に作用する筋活動・自律神経機能、脳機能の評価について調査し、味覚嗅覚を利用した新たなアプローチを模索することを目的として行ったものである。 本研究では摂取した食品の嗜好性の違いによって心電図の心拍変動解析から自律神経系の活動を明らかにすること、また閉口筋・開口筋の筋電図から咀嚼パターンの変化を明らかにすること、さらに脳波測定により脳神経活動の変化について明らかにすることにより、咀嚼運動と神経活動の関連性について検索をおこなった。 実際には数種類のフレーバーのついたガムを被験者に呈示し、好ましい物、好ましくない物をそれぞれ選択してもらい、それらを一定時間咀嚼した時間の中で上記の行動生理学的実験をおこなって、その差を比較検討した。 結果としては嗜好性の違いにより神経系に及ぼす影響には個人差があるもののいくつかのパターンに分類されることが明らかとなった。多く認められたのは好ましい食品を摂取したときと比較すると好ましい食品を摂取した場合には、食品咀嚼後の安静時に副交感神経の活動が優位となる状態であった。これは好ましい食品を摂取したほうが食後によりリラックスした状態になると考えられた。自律神経系の活動は必ずしも咀嚼パターンと密に関連づけられるわけではなかったが、好ましい食品を摂取したほうが好ましくない食品の場合より咀嚼回数の増加や咀嚼力の増加など筋活動を増強する傾向が認められた。また脳波解析より好ましい食品を摂取している場合の方が、摂取後には集中・リラックス効果と考えられるα波の上昇が認められた。 咀嚼力の向上や神経系におけるリラックス状態を引き起こすことは、摂食・嚥下行動における機能改善に役立つものと考えられるため、摂食・嚥下行動困難者において食品の嗜好性を考えることは非常に有用であることが示唆された。
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