2016 Fiscal Year Research-status Report
相同モデル化理論を応用した歯列石膏模型のデータ化による個人識別法の開発
Project/Area Number |
15K11447
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
柳 文修 岡山大学, 大学病院, 講師 (50284071)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 相同モデル / 個人識別 / 身元確認 / 歯列石膏模型 / 法歯科医学 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初の平成28年度研究計画は、1.相同モデル作成条件の決定、2.データの蓄積、3.死後資料採取方法の検討であった。1.については前年度の試行段階で良好な結果が得られため、作成条件として、解剖学的特徴点28、頂点数8702、ポリゴン数17127を採用した。本条件にて、相同モデル化前は約10MBであったSTLデータは0.5MBの相同モデルとなり、当初の目的であった「識別能の担保とデータの軽量化」を達成できた。2.については、CTデータの取得数310、相同モデル作成数225となっている。これらのうち11個の模型は元模型の咬頭の一部を変形(咬耗を想定)させた復模型であり、元模型との照合が可能かどうかを検証するために作成したものである。3.については、採用可能と考えられる手法に光学印象、3Dカメラ、印象採得による模型作製、CT撮影などが挙げられ、今年度は口腔内スキャナーによる光学印象によるSTLデータの取得とCTデータの利用について検討を行った。前者については簡便で携帯性に優れるため、死後資料の採取には最適の手法であると想像される。しかし、歯槽部と口蓋を含む広範囲の印象採得には時間を要し、空間的な位置を把握するためのランドマークが設定困難であることもあり、使用には熟練が必要であった。短時間に大量のデータ取得が必要な大規模災害時での使用については現状のスペックでは難しいと考えられた。後者のCTデータについては、そもそも大規模災害に向かないが、開口不可でも適用可能であり、小規模災害での使用については十分に検討の余地があり、金属アーチファクトにより歯冠形態の把握が困難なものの、身元特定につながる特徴の検出能は高いと考えられた。相同モデルを用いた識別能の検討も引き続き行っており、識別に有効な種々の項目(形態的な差)を検討し、得られた結果は関連学会で発表を行い、論文作成に着手している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
進捗状況としては各年度の予定を上回っており、研究結果についても満足の得られるものとなっている。識別に際しての種々の項目を検討した結果、新たな知見も得られており、達成度しては予定より進んでいると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続き行うものとして、歯列石膏模型のCT撮影、相同モデルの作成があるが、STLデータの取得についてはCT撮影以外での取得方法の検討をさらに進める。また、相同モデル化されたデータの利用に関し、主成分分析以外の手法を用いた場合の識別能の検討を行う。
|
Causes of Carryover |
平成28年度には、使用ソフトウェアのバージョンアップ費用、成果発表に関わる旅費・論文作成費用等に繰越金を含む予算額を充てる予定であったが、当該年度における関連学会の開催日が重複もしくは近接していたことから、発表件数が少なくなったこともあり、次年度使用額が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
現在使用しているソフトウェアは改良が進んでおり、主成分分析以外の照合方法も利用可能である。相同モデル化を行う際に利用する解剖学的特徴点を利用し、サンプルデータから特定の模型あるいは、候補となる模型を抽出することも可能で、バージョンアップを予定している。また、相同モデル作成時の作業量の軽減を考える必要があり、ソフトウェアの改良・開発自体にも協力する予定である。研究成果の発表、論文作成にも引き続き取り組み、これらに繰越金を充てる予定である。
|
Research Products
(4 results)