2017 Fiscal Year Research-status Report
相同モデル化理論を応用した歯列石膏模型のデータ化による個人識別法の開発
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15K11447
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
柳 文修 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (50284071)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河合 泰輔 日本歯科大学, 歯学部, 准教授 (30350143)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 相同モデル / 個人識別 / 身元確認 / 石膏模型 / 法歯科医学 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度の当初予定としては、1.上顎歯列石膏模型の相同モデルによる識別能の検討、2.石膏模型を3次元表示するためのフォーマットであるSTLデータの取得、3.主成分分析以外の解析方法による識別能の検討、であった。 1.主成分分析による寄与率の高い第1主成分と第2主成分での累積寄与率は 32.8%であった。第1,2主成分の主成分得点において、平均値からプラスマイナス3SDで相同モデルを形態変化させ観察したところ、第1主成分は歯列弓の大きさ、第2主成分は口蓋の深さを最もよく表現する因子と解釈された。 2.口腔内スキャナー利用の可能性も引き続き検討したが、ペンタイプのスキャナーの場合は歯列に特化していることから、相同モデル化の範囲を歯列弓のみに限定することとなり、相同モデル作成手法のうち、テンプレートの作成、フィッティングから再検討することが必要となり、研究機関内での遂行は困難と思われた。ただし、技工用スキャナー、工業用スキャナーでのSTLデータ作成は非常に容易であり、副次的なものではあるが、色彩データの取得は視覚的評価に有用で身元確認への応用は十分に期待できるものであった。次に歯科用コーンビームCTによるSTLデータ作成については、機器的に電流/電圧不足が懸念されたが、一般的な石膏模型であれば、データ取得には問題なく、かつ付属の画像処理用ソフトウェアから直接、STLデータを出力できるものもあり、汎用性は非常に高まるものと期待できる。 3.本研究では主成分分析を使用しているが、他の分析法として、因子分析による解析を検討した。非常に混同されやすい2つの解析法であるが、計算後に形態類似性を検討し、マッチングに利用するという本研究の趣旨には、抽出した形態的特徴の変異傾向を画像により視覚的に表現することで、直観的に把握・理解できる点において、主成分分析の優位性が確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究申請時点での目的である、1.相同モデル化に適したCT撮影条件の確立、2.相同モデル化時の至適ポリゴン数の決定、3.照合用データとして最適な取得方法の決定、4.個人識別に相同モデル化手法を用いた際の問題点の抽出と解決法の提案、については種々の条件・仮定があるものの、明らかにすることができ、「相同モデル理論を応用した歯列石膏模型による個人識別法の開発」として論文発表を行っていることからも、順調に研究が進んでいると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究で、主成分分析による寄与率の高い第1主成分と第2主成分での累積寄与率は 32.8%であることが判明し、第 1主成分では歯列弓の大きさ、第2主成分では口蓋の深さを表現している可能性が高いことが示されている。、第1主成分である歯列弓の大きさ、第2主成分である口蓋の深さといった、形態的特徴は口蓋形態そのものを示しているとも考えられ、歯列形態に寄らない形態類似性の検討による個人識別の可能性が示唆された。この可能性を検討するためのデータ、手法は既存の研究を遂行するために用意しているもので代替可能であり、研究期間延長により、本研究の一部として検討を開始することが妥当と考え、研究期間の延長を申請した。
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Causes of Carryover |
(理由)充足率が75%程度となったことで断念したソフトウェアの購入予定費用をソフトウェアのバージョンアップ費用、成果発表・資料収集等に充当していたが、一部の関連学会で開催日が重複したことや渡航先の政情不安等で出張機会の減少があったため、次年度使用額が生じた。 (使用計画)ソフトウェアのバージョンアップ費用に加え、研究計画の変更・追加内容を遂行するための情報収集・成果発表を行う予定である。
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