2016 Fiscal Year Research-status Report
発話機能の定量的特徴に基づいた高齢者の口腔機能向上プログラムの開発
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15K11461
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Research Institution | Kyushu University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
原 修一 九州保健福祉大学, 保健科学部, 教授 (40435194)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 宏子 国立保健医療科学院, その他部局等, 部長 (10183625)
山崎 きよ子 九州保健福祉大学, 社会福祉学部, 教授 (20331150)
森崎 直子 姫路大学, 看護学部, 教授 (30438311)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 介護予防 / 高齢者 / 口腔機能 / オーラルディアドコキネシス / 発声持続時間 / 運動機能 / 認知機能 / 音響学的分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.高齢者の口腔機能データの収集:今年度は、介護老人福祉施設利用高齢者75名に対し、オーラルディアドコキネシスと反復唾液嚥下テスト、発声持続時間、舌圧の測定を実施した。当該高齢者のデータは、宮﨑県北地域の住民を対象として継続的に測定している口腔機能のデータと併せて、平均値を算出し、後述のパーソナルコンピューター(PC)による口腔機能測定・向上プログラムの標準値データに利用した。 2.メディアを用いた口腔機能測定・向上プログラムの作成:WindowsベースのPC上で動くオーラルディアドコキネシスと発声持続時間の測定プログラムを作成した。オーラルディアドコキネシスの測定プログラムは、最初に「ぱたか」(/pataka/)を録音し、「ぱ」(/pa/)「た」(/ta/)「か」(/ka/)「ぱたか」それぞれの音響学的特徴を示す周波数を抽出し、その上で4つの音節または複合音節の回数を2回測定し、平均値を算出するシステムとした。測定プログラムで算出された4つの音節・複合音節の回数と、ICレコーダーで録音、音響分析ソフトにて算出された回数との相違があるため、音響学的特徴の抽出における周波数帯域を広げる等を実施し、より精度の高いシステムにしていく。発声持続時間の測定プログラムも2回測定し、平均値を算出できるものにした。オーラルディアドコキネシスと同様に、PC上のシステムでICレコーダーで録音した音声の持続時間との比較を行ったが、本プログラムは差はほとんど無く、安定していた。今後は更に精度の高い評価システムを構築する。また、高齢者が取り組みやすい、認知機能、運動機能、口腔機能全てが網羅された複合的な機能向上プログラムを構築し、PCによる口腔機能測定・向上プログラムに導入していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2年目以降で実施する予定の、口腔機能向上プログラムの導入と効果判定に関して、対象となる在宅高齢者や施設の協力が得られず、プログラムの試験的運用まで至っていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
1.口腔機能データの収集:宮﨑県北在住の住民約400名、および介護老人福祉施設利用高齢者約80名の口腔機能の測定を実施する。複数年のデータ収集ができている対象者が存在するため、口腔機能の経年的変化と関連する要因を統計学的に検討する。同時に現在作成中のメディアによる口腔機能測定プログラムの平均値算出や年代別機能の判定基準に本データを利用する。 2.口腔機能向上のための評価・訓練プログラムの構築:引き続きボランティア等による本プログラムのモニタリングを検討・実施する。同時に作成中のメディアによる口腔機能の測定・向上プログラムに関しては、口腔機能測定プログラムの精度を向上させ、認知、運動、口腔諸機能の維持・向上のためのプログラムをメディア化し、プログラムに導入していく。
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Causes of Carryover |
当初の計画では、Apple社のiPadアプリとして利用でき、タブレットで運用する口腔機能評価・諸機能向上プログラムの構築を目指し、プログラム開発費とタブレット購入費として算定していたが、プログラム自体の開発に時間がかかっていることや、アプリの登録費等の諸費用がかさむことより、プログラムはWindowsベースで、基本的プログラムからプログラムの信頼性・妥当性を検証しながら徐々にアップグレードをしていく形を取り、タブレットを購入しなかった。 当初は、口腔機能測定データの入力、データ整理のための研究補助アルバイトの雇用を考えていたが、28年度の取得データが、介護老人福祉施設の高齢者のデータのみであったことより、研究代表者がデータを入力したため、研究補助者の雇用を行わなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
28年度の使用額については、口腔機能評価・機能向上プログラムの構築について、評価プログラム開発費(20万円)とWindowsパソコンとタッチパネル式のPCモニタの購入(20万円)、メディアによる機能向上のための訓練システムのベースとなるプログラム構築のための人件費・謝金(10万円)に充てる。 29年度の助成金は、計画通り国際学会での発表(The 21th IAGG World Congress of Gerontology and Geriatrics:7月23-27日 アメリカ・サンフランシスコ)と、口腔機能のデータ収集と入力のための研究補助アルバイトの雇用、機能向上プログラム構築のための協力者の人件費・謝金を中心に使用する。
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Research Products
(2 results)