2016 Fiscal Year Research-status Report
MRI検査時に生じるストレスによる心拍変動に関する研究
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15K11471
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Research Institution | Ibaraki Prefectural University of Health Science |
Principal Investigator |
門間 正彦 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 教授 (10274987)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川野 道宏 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 准教授 (00404905)
石森 佳幸 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 准教授 (30401970)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | MRI検査 / 心理的苦痛 / 心拍変動 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、前年度構築した指尖脈波によるリアルタイムに心拍変動を測定・解析するシステムを使用し、ボランティアの被験者数十名に対し、MRI検査中のストレスを測定した。 (1)MRI検査時の音楽呈示によるストレス軽減 MRI検査時に使用可能な非磁性のヘッドフォンを活用し、MRI検査時に音楽を呈示することで被験者が感じるストレスがどのように変化するのか、心拍変動解析を用いて定量化するとともに、アンケートによる主観的評価を用いて検討を行った。 (2)MRI検査時の香り呈示によるストレス軽減 リラックス効果があるといわれている香り(エッセンシャルオイル)を使用し、MRI検査中のストレスがどのように変化するのか、心拍変動解析及びアンケート調査による主観的評価により検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで指尖脈波によるリアルタイムに心拍変動を測定・解析するシステムを使用し、ボランティアの被験者数十名に対し、MRI検査中のストレスを測定してきた。心拍変動解析として時間領域での指標である心拍変動係数CV-RR、心拍のR-R間隔に着目したローレンツプロット解析としてL/TやFstressを用いて解析をおこなった。 (1)MRI検査時の音楽呈示によるストレス軽減 リラックス効果があるといわれている音楽(モーツアルト)に対し、心拍変動解析で得られたCV-RR値、L/T値、Fstress値は、音楽呈示なしで低く、音楽呈示ありで高くなっていた。CV-RR値、L/T値、Fstress値は低いほど被験者がストレスを感じていることを表し、音楽を呈示することでMRI検査時のストレスが軽減されたと考えられる。しかし、個人差が多く統計的な有意差は見られなかった。 (2)MRI検査時の香り呈示によるストレス軽減 リラックス効果があるといわれている香り(エッセンシャルオイル)に対し、心拍変動解析で得られたCV-RR値、L/T値、Fstress値は、どの指標に関しても被験者の多くは香り呈示ありの方が高値を示していることが分かった。しかし、個人差が多く統計的な有意差は見られなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度はリアルタイムに心拍変動を測定・解析することによるMRI検査に伴うストレスの定量化を継続するする。被験者に対してMRI検査直前、検査直後、検査後という時間経過で、心拍変動を測定し、ストレスの定量化を行う。これらのデータに対する多変量解析によりMRI検査時に生じるストレスの情動パラメータの発掘を試みる。研究対象者は健常者20名とし、MRI検査の経験が無い者10名、ある者10名程度として、対象者の属性を考慮する。 また、主観・認知系指標によるMRI検査に伴うストレスの定量化を継続する。研究対象者に対しMRI検査直前、検査直後、検査後という時間経過で、状態-特性不安尺度を示すSTAI(State Trait Anxiety Inventory)を利用してストレスに伴う不安状態を定量化するとともに、検査中の騒音や圧迫感、時間感覚といった単一選択形式または任意記述形式のアンケート調査を行い主観・認知系の間接的な分析を行う。 さらに、コミュニケーションツールとしてヘッドフォンや液晶モニタを有効に活用することにより、ストレス軽減効果を検証する。液晶モニタで動画を提示することによって閉所にいながらも開放感が得られるような方策を検討する。
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Causes of Carryover |
主に、多くの被験者を募った実験ができなかったため人件費・謝金相当の経費が、また論文投稿ができなかったためその他の経費が、次年度使用額として生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
早急に実験環境を整え、被験者を募った実験を開始することにより、非侵襲計測可能な心拍変動から得られる特徴量を指標としたストレス定量分析手法の構築を行う一方、コミュニケーションツール(ヘッドフォンや液晶モニタ)の活用による効果の検証を行う。また、論文投稿や研究成果発表を行うことにより成果を積極的に公表してゆきたい。
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Research Products
(2 results)