2017 Fiscal Year Research-status Report
ホリスティックな看護技術の獲得を可能にする暗黙知とゲシュタルトに関する実証的研究
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15K11485
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Research Institution | Tokyo Ariake University of Medical and Health Sciences |
Principal Investigator |
前田 樹海 東京有明医療大学, 看護学部, 教授 (80291574)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 雅子 東京有明医療大学, 看護学部, 准教授 (20563513)
北島 泰子 東京有明医療大学, 看護学部, 准教授 (30434434)
中村 充浩 東京有明医療大学, 看護学部, 講師 (60553899)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 暗黙知 / 熟達化 / 看護技術 / 技術教育 / ヒュ-リスティクス / 形式知 |
Outline of Annual Research Achievements |
看護技術は、言語や視聴覚教材を媒介として基礎教育で伝達される形式知段階と、その後経験によって獲得される段階の2段階を通じて完成するという、看護技術習得2段階説を精緻化するために、精神科病棟のすべての看護職員の予測に対する転帰を分析した結果、①一般病棟とは異なる予測事象(離院、自殺企図、暴力など)があること、②暴力・暴言については予測を入力すべての看護職員が予測の対象としていること、③補助者も予測を行っていること、④予測に対する的中率は29%あり、譫妄27%(予測11回、的中3回)、暴力・暴言34%(予測71回、的中24回)であったこと、⑤これまでの知見と異なり、的中者は非的中者よりも経験年数は短く(10.3年/27.4年)、年齢が低かった(34.7歳/59.2歳)こと、⑥看護補助者の的中数は0ではなかったことが示された。「転倒・転落」、「自殺企図・希死念慮」は、予測はされていたが的中数はいずれも0であったのは、防止対策がとられていたものと推測される。研究に参加したすべての看護職員が予測を行い、34%という的中率を示した「暴力・暴言」については患者のみならず、職員自身に危険が及ぶ可能性があることから、精神科病棟では必須の予測技術と捉えることができる。的中率が34%にとどまるのは、予測精度の問題というよりは、疑わしきは注意しておくというスクリーニングの目的に適することが推察された。 看護技術の熟達化・完成に至る道筋を明らかにする上で、対策可能な予測事象については、その対策を行うことで予測をしたと見なせる点で有用な項目ということができる。一方、対策困難な予測事象については、それを見逃してはいけないということから、的中率が下がるのは止むを得ないということも明らかになった。本調査によって、今後本研究計画において看護技術項目別の調査を行う際の重要な視座を得ることができたと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究のベースとなる仮説の精緻化に時間を要しており、調査対象となる看護技術に関する調査のベースとなる基礎看護技術の解析は行っているものの、実際の調査には至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には当初の計画通り、看護技術に関する質問紙調査、新人看護師を対象とした技術の熟達化に関する追跡調査を実施し、最終プロダクトとして、看護技術習得2段階説に基づく看護技術のマッピングを行う所存であるが、当初研究デザインを再検討し、短期間で最終プロダクトに到達する道筋も探索する。
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Causes of Carryover |
病院における看護師を対象とした調査(横断調査ならびに追跡調査)が遅延しているため、その調査にかかわる費用が次年度使用額として残っている。今後、調査に向けた準備を可及的速やかに行い、前期中に実調査に着手する所存である。
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Research Products
(4 results)