2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K11494
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Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
二井矢 清香 広島国際大学, 看護学部, 准教授 (80364181)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
勝山 吉章 福岡大学, 人文学部, 教授 (30214357)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 患者教育 / 文献研究 / 歴史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,看護における患者教育の歴史について,一次資料と二次資料,三次資料を分析しながらまとめた。その結果,患者教育は,時代や政治,経済,文化と複雑に絡み合って発展しているという事実を導き出すことができた。また,患者教育は看護職者による個々の実践や研究からのみ発展していったのではなく,むしろ,政治や経済との影響関係のなかで絶えず変革を図ってきたのであって,今日の患者教育もその延長線上に位置づけられていることを明らかにした。とくに強調したいのは,看護における患者教育には「教える」ことを基盤とする伝統的な特徴があり,他方で,科学的な方法論を根拠としながら実践を発展させてきたという歴史をもつということである。こうした研究成果をふまえて,看護における患者教育は,専門性を高めてきたといえる。なお,これらの研究成果は,国内外において学会発表を行った。海外においてはInternational Council of Nurses(Korea:2015)で学会発表を行った。国内においては,日本看護科学学会(広島)と日本看護研究学会(広島)で学会発表を行った。また,掲載論文としては,『Yearbook on Journal of the Japan Society of Nursing Research 2015』に本研究の一部の成果が掲載された。さらに,看護学生に対しても患者教育の方法論に関する概観を『Clinical Study』36巻10号に掲載した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りに進めている。本研究は,福岡大学の勝山吉章教授の指導を受けながら進めている。毎月1回程度の打ち合わせを行い,進捗状況を報告しながら進めた。また,本研究の成果発表をするにあたっては,防衛大学校の安酸史子教授の助言を受けており,研究内容の信憑性を高めた報告に心がけている。このように,定期的に進捗状況を報告し合うことで,研究が遅れないように努めている。
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Strategy for Future Research Activity |
患者教育は,患者が自立するための重要な援助である。そこで今後は,2つの視点ですすめる。1つは,看護理論における患者教育の捉え方を考察する。看護理論の中でも,ナイチンゲール,ヘンダーソン,オレムを中心に,患者教育がどのように捉えられているのかを分析する。その上で,臨床現場の実践ではどのように看護理論がいかされているかを考察する。2つめは,患者教育が患者の権利を保障する援助としていかなる歴史的変遷を遂げてきたのかを分析する。分析の視点として,患者教育は,人間の存在に基づく「教育を受ける権利」や「学習権」として捉え直すことを試みる。また,本研究の成果を日本看護科学学会(2016年:東京)で発表する予定である。
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Causes of Carryover |
当初計画より経費が節約できた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今後は、看護理論を中心に文献収集する予定である。そのため、文献複写や郵送料を計画している。
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