2017 Fiscal Year Annual Research Report
Transition of Patient Education in Nursing in Postwar Japan
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15K11494
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Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
二井矢 清香 広島国際大学, 看護学部, 准教授 (80364181)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
勝山 吉章 福岡大学, 人文学部, 教授 (30214357)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 患者教育 / 歴史 / 患者主体 / 戦後 / 専門性 / 看護 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本の看護学研究は,自然科学的な研究が多く,歴史学的な研究は非常に少ない。とくに患者教育は,自然科学的な研究や実践によって成果を積み重ねてきた側面がある。しかしそれだけでは,看護が,患者教育を独自の学問領域としていかに発展させてきたかということを証明できない。 そこで本研究では,患者教育は,戦後日本の看護が実践の蓄積を経て開花させた専門性であることを歴史学的に明らかにしてきた。研究を続ける中で,患者教育は,方法論の積み重ねだけで専門性を成立しているのではないことがわかってきた。また,患者教育は,常に「患者主体」という言説と結びついていることも明らかにした。歴史社会学的な接近によって患者教育の歴史的変遷と患者主体の言説との関連を明らかにしたことで,患者教育に期待される患者主体の形成を看護はどのように担うべきかという今後の研究課題を導き出すことができた。日頃あたりまえに実践している患者教育の歴史を知ることで,そこに含まれる歴史的意義や価値を発見することができた。 さらに,本研究では2つの視点から文献検討した。1つは,ランケ(Leopold von Ranke:1795-1886)が提唱した実証主義的な視点から一次資料の発掘・調査・整理を行う歴史学的分析である。2つめは,渡辺(2001)や赤川(2006)の研究手法を踏襲し,社会学的な視点から二次資料の収集・分析を行う言説分析である。こうした研究手法を看護研究に取り入れることは,看護研究に新しい文献研究の方策を提案することであり,文献研究の方向性や範囲を拡大することに繋がった。
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