2015 Fiscal Year Research-status Report
身体性アバタを介した看護コミュニケーション教育支援システム
Project/Area Number |
15K11517
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Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
高林 範子 岡山県立大学, 保健福祉学部, 助教 (30551816)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 看護コミュニケーション教育 / 身体的インタラクション / バーチャルコミュニケーション / アバタ / リフレクション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,開発してきた看護実習生-患者役アバタを介した看護コミュニケーション教育支援システムのアバタの表情や視線などの表現性に対するシステムの改良とシステムに既に組み込まれている三人称視点でのリアルタイムな振り返りだけではなく,行為の後の振り返りも実施できるリフレクション機能を付加したシステム開発およびその有効性を検証し,実用化に向けた検討をすることである. 平成27年度は,看護実習生-患者役アバタを介した看護コミュニケーション教育支援システムの改良を行い,アバタに微笑みと眼球動作モデルを付加した新たなシステムを開発し,評価実験を行いそのシステムの有効性を示した.その研究成果を日本人間工学会誌に論文投稿した.さらに,リフレクション機能を付加したシステムを開発し,評価実験を行いそのシステムの有効性を検証した.被験者は,O大学看護学科1.2年生,友人関係にある10組20名であり,従来システム(Aシステム)とリフレクション機能を付加したシステム(Bシステム)の2種類を用意し,2人1組でコミュニケーション実験を行い,7段階評価および自由記述をさせた.その結果,7段階評価は,AシステムとBシステムの比較では,「コミュニケーションに対する課題を明確にできたか」「自己の振る舞いを意識できたか」の項目においてBシステムが有意に高く評価された.さらに,自由記述においてもBシステムは「その場では緊張していて何を話したか忘れてしまうことがあるが,自分の会話内容を振り返れるので反省点や改善点に気づける」「患者の表情が分かりづらいので声の抑揚や大きさなどをいつも以上に意識して聴くことができた」という肯定的な意見があり,コミュニケーション行動を体験的そして客観的に振り返ることができ,また,非言語情報の重要性に気づかせることができるなどシステムの有効性が示された.今後は,実用化に向けた検討を進める.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
開発してきた看護実習生-患者役アバタを介した看護コミュニケーション教育支援システムのアバタの表情や視線などの表現性に対するシステムの改良を行い,その研究成果を日本人間工学会誌に論文投稿し原著論文としての掲載が決定した.さらに,行為の後の振り返りを実施できるリフレクション機能を付加したシステムのプロトタイプを完成させ,評価実験により自己のコミュニケーション課題の明確化や自己の振る舞いの意識化などのシステムの有効性が示された.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今後の推進方策3事項を以下に示す. 1.開発システムについては,リフレクション機能として視線・表情・視点切り替えの機能を組み入れているが,さらに学習効果を高めるために,看護に必要な傾聴のスキルとして,相槌・うなずきなどの気づきを促がすためのうなずき機能を導入し,システムの改良を進める. 2.開発したシステムを用いた評価実験を行い,開発システムの実用化に向けた検討を進める.今後の評価実験としては,アバタを介した二者間のコミュニケーションによる視線の変化と生体への影響を(緊張度)を捉えるために,眼球運動測定装置を使用した視線行動の測定と加速度脈計(TAS9 VIEW)を使用した自律神経活動の変化を捉える予定である.眼球運動測定装置については,昨年度から機種選定中であるが,本年度中には決定し,評価実験を行う予定である. 3.研究成果の発表については,平成27年度のリフレクション機能を付加した看護コミュニケーション教育支援システムを用いた評価実験で得られた研究成果を,日本人間工学会誌などへ論文投稿する.
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Causes of Carryover |
開発したシステムを介した二者間のコミュニケーションによる視線の変化を測定するための眼球運動測定装置として,当初はTalk Eye Lite(T.K.K)を購入予定にしており,開発システムに組み入れたデモテストを2回実施したが,期待されるデータが得られなかったため初年度での購入を断念した.そのため,次年度使用額が生じてしまった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
眼球運動測定装置については昨年度から機種選定中であるが,本年度中には決定し,眼球運動測定装置を購入するための予算と評価実験のための人件費・謝金として使用する.また,論文掲載料・別刷り代金費用として使用する.
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