2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K11522
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
中野 真理子 自治医科大学, 看護学部, 講師 (60712312)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 美鈴 自治医科大学, 看護学部, 教授 (10320772)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 海外における身体抑制 / 抑制解除 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、昨年度の看護テキストにおける身体抑制の取り上げ方および内容の調査と先進国であるスペインの身体抑制の状況視察を経て、スペインの看護師の招聘を行い、意見交換を実施した。 昨年度の視察は本研究と同様の研究を行っているスペインの看護師を訪ね、同看護師の勤める病院のICU、CCU、NICU、高齢者病棟の見学および身体抑制について看護師と意見交換を実施した。ICUでは呼吸器装着し意識のある患者にも抑制はしておらず、自己抜管するのでは心配したが、看護師たちは自信を持って「大丈夫」と答えた。その理由を「十分な説明で患者が自分の状態を理解している」と説明してくれた。日本では念のために抑制が行われるケースであると思うが、なぜ自信をもってそこまで大丈夫だと言えるのか解明していく必要を感じた。大学での教育は、身体抑制に関しての講義や演習はなく、看護倫理の講義で触れることがあるとのことであり、ほぼ日本の状況と同様の感じであった。 今年度、同スペインの看護師を研究者の勤める大学へ招聘し、附属病院のICU、CCU、一般病棟の視察と大学施設および講義の視察と「スペインにおけるクリティカルケア領域の身体抑制の実際と課題」というテーマで講演を開催し教員、看護師、他院の看護師など15名の参加があった。スペインでは身体抑制実施による二次的障害を重視し、抑制をしない方向での取り組みが本国以上に行われている印象であった。 ICU視察時、呼吸器をつけ上肢を抑制している患者のベッドサイドを訪ね、抑制帯を外し10分程度患者と身振り手振りの会話を持った。その場を離れるとき看護師は、再び抑制を行ったが、スペインの看護師は「彼には抑制は必要ない」と自信をもって言っていた。 これらの体験をとおし、我々の抑制実施には「念のため」という幅が大きいのではないかという気づきを得、今後の研究にその視点を取り入れていきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
28年度は、身体抑制に関する教授内容の調査を全国看護系大学に実施する予定であったが、平成27年度に実施した海外視察での意見交換をさらに深め、本国との違いを探るためにスペインの看護師を日本に招聘し日本の看護の状況を視察したうえで意見交換を行ったため。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、28年度実施予定であった身体抑制に関する教授内容の調査を全国看護系大学に実施し、身体抑制を禁止し、行われていないと言われている英国の看護実践についての 視察を行う。 また、自分たちが受けた身体抑制に関する教育内容、方法とその教育内容、方法に対する考え、思いなどを看護師にインタビユーを実施する。
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Causes of Carryover |
全国看護系大学に対する身体抑制に関する教授内容・方法についてのアンケート調査を実施しなかったため、調査に掛かる費用の支出がなかった。 もう1点は、海外視察も実施しなかった点と海外からの看護師の招聘を1月に実施し、チケットの手配が安価であったことも支出が少なかった理由である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度、アンケート調査の実施と海外視察を実施する。
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