2017 Fiscal Year Research-status Report

シミュレーティッドリアリティ臨地実習体験による看護実践過程教育システム開発

Research Project

Project/Area Number	15K11524
Research Institution	Tokyo University of Technology
Principal Investigator	太田浩子東京工科大学, 医療保健学部, 准教授 (30583934)
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha)	井上智史駿河台大学, メディア情報学部, 助教 (70339547) 稲葉竹俊東京工科大学, 教養学環, 教授 (10386766) 松永信介東京工科大学, メディア学部, 准教授 (60318871)
Project Period (FY)	2015-04-01 – 2019-03-31
Keywords	看護教育学 / シミュレーション教育
Outline of Annual Research Achievements	看護学における臨地実習は、看護学の講義、演習により得た科学的知識・技術を実際の患者を対象に実践し、看護の統合や社会的評価を顕彰するという学習目標を達成する授業である。臨地実習の核になる実践の方法論が看護過程であり、対象の要求に的確に応えるために、問題解決の構造を取り入れた過程である。学生は看護過程を展開するために少ない経験から患者をイメージする必要があり、机上における学習の困難さが生じている。そこで、より臨地実習に近い状況で、シミュレーション体験できる教育システム開発に取り組んでいる。看護教育の課題となっている臨床判断の育成につながるe-learingとするためには、患者の訴えや症状から推論し、情報収集、アセスメントしたうえで援助を実践する力を育成する必要がある。開発する教育システムは、学生が患者の情報を意図的に探し、何が必要な支援なのかを探索できるシステムとする。平成29年度は、システム開発のため、模擬患者の映像やフィジカルアセスメントに必要な映像や音声などを収集し、システムの開発と評価をするよう進めていた。しかし、研究代表者が所属する看護学科や基礎看護学領域内での退職者や休職者があり、研究代表者の日常業務が多忙となり研究計画が遂行できない状況で止まっている。1年間延長し、開発を進め、評価する予定である。一方、研究代表者が担当する看護過程の授業や実習のなかで、研究対象者である学生の情報収集やアセスメントの傾向をシミュレーション授業体験群とペーパーぺーシェント群に分けて分析した。臨地実習の記録から分析された内容は、シミュレーション群がペーパーペーシェント群に比べ、患者の主観的情報から客観的情報を収集しており、アセスメントが患者の状況に応じた深いアセスメントであることが明らかになった。患者の主観的な情報から客観的情報を探索できる教育システム開発を進め、評価する予定である。
Current Status of Research Progress	Current Status of Research Progress 4: Progress in research has been delayed. Reason 平成28年度に予定していた、教育システム開発に必要なシナリオの確定やコンテンツ構成が遅れてことで、システムに導入するための撮影が滞り、かなりの遅れをきたしている。平成29年度に予定していたシステム導入の材料となる学習者目線から撮影した模擬患者の映像や画面、電子カルテ上の検査などの設計ができない状況で経過している。一方、模擬患者による授業展開を継続しておりシュミレーションによる授業展開は、臨地実習において、患者の主観的情報や客観的情報を関連づけた情報収集につなげる授業展開であることの示唆を示すことができた。平成29年度は研究代表者の業務が、退職者や休職者のため多忙となり、開発を進めることが困難となっていたため、平成30年度は研究を継続し、遂行する予定である。
Strategy for Future Research Activity	平成29年度に予定していた、俳優による模擬患者の撮影と編集を終了させる。編集した映像や材料となる検査結果、電子カルテのイラストなどを導入し、システムのデモ機を作成する。デモ機をもとに、設問を確認し、解答が不足するであろう学習のポイントについて整理し、ワンポイントとしてアイコンに組み込む。デモ機を作成し、修正を行いながらシステムを完成する。また、教育システムのプレ評価のため、5名程度の研究協力者を募り、実際に使ってもらったうえで、アンケートによる評価を求め検証する。また、看護過程展開実習の参加予定者に対して研究協力を得たうえで、教育システムの実施と看護過程実習における記録の分析を行い、教育システムの教育効果について検証する。
Causes of Carryover	平成29年度は、研究代表者が業務が多忙となり研究の遂行が困難となり実質の経費の使用ができなかった。平成30年度は、教育システムを完成させるため、撮影を依頼している俳優への謝金やシステムの投入する資料、コンテンツに組み入れるための資材、レンタルサーバー使用料、イラスト作成に伴う謝金が使用額として必要となるため、そのような経費として活用する予定である。