2016 Fiscal Year Research-status Report
看護学実習において学生のコミュニケーション能力を育成するための指導モデルの開発
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15K11527
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Research Institution | Japanese Red Cross College of Nursing |
Principal Investigator |
鷹野 朋実 日本赤十字看護大学, 看護学部, 准教授 (00409799)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 看護学実習 / コミュニケーション能力 / 実習指導 / 看護教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度には、平成27年度の文献検討及びパイロットスタディのインタビュー調査を踏まえ、専門家の指導、助言を得ながらインタビューガイドを洗練させ、看護学実習を担当している(及び過去3年以内に担当した)看護教員10名を対象として、「コミュニケーション能力に問題があり、実習指導に困難さを感じた学生」をテーマとしたインタビュー調査を実施した。 この調査によるデータ収集と平行して、発達障害の治療、ケアの専門家(精神科医、看護師)及び大学生のメンタルヘルスという視点から発達障害をもつ大学生の教育にあたっている大学教員、教育学を専門とする大学教員、看護教育のエキスパートである大学教員らから助言をもらいながら、事例を分析する作業も行った。 3月には、前述の専門家とインタビュー調査参加者によびかけて、インタビューから得られたデータをもとに実習指導に関する事例検討会及びグループインタビューを行い、専門家からは事例の解釈、及び効果的と思われる介入方法などの示唆をもらい、インタビュー調査参加者からは事例への意見、そこから想起された自身の体験などを語ってもらった。これにより、教員が指導に苦慮する学生の特徴がいくつか浮かび上がってきた。また、専門家から提示された効果的介入法は、効果があがりやすいケースと、適切ではないケースがあることもわかってきた。 個別インタビューと2回行ったグループインタビューで得られたデータをもとに、コミュニケーションに問題があると思われる学生をいくつかのタイプに分類することが可能ではないかと考え、その分類の作業に着手した。それと同時に、教育関連の文献から様々な教授法について調べ、各々のタイプに効果的な介入方法があるのではないか、ということを検討、模索している。 なお、平成27年度に行った文献検討については、その概観を学会にて発表するため準備をすすめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成27年度に本調査のインタビューにまで到達できず、当初の予定よりもやや遅れた進捗状況にて平成28年度をむかえた。その後、かなり遅れを取り戻し、平成28年度に予定していた10名の看護教員を対象とした個別インタビューは終了することができた。また、当初の研究計画において平成28年度に実施を予定していたワーキング・グループについては、事例検討会及びグループインタビューという形ではあるが、開催するに至った。以上のように、ほぼ研究開始時の計画に進捗状況は近づいているが、研究結果全般を整理してワーキング・グループに示し、そこで内容を吟味検討するというところにまでは至っていないため、‘やや遅れている’と評価している。 とはいえ、事例検討やグループ・インタビューで様々な意見、示唆を得られたことは有意義であった。この内容を活かして、研究結果のまとめに着手できることは本研究にとっては極めて有益なことと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度においては、個別インタビューならびにグループインタビューにより得たデータから、コミュニケーションの問題についていくつかのタイプに分類を行い、それぞれに適する介入方法を模索する。その結果を、ワーキング・グループにおいて検討できるように調整し、実施する。 上記を踏まえ、研究結果について考察を行い、本研究の意義や不十分な点を明らかにしていく。 なお、上記の作業においては、平成28年度同様に看護教育、教育、精神科医療のエキスパートからの指導を受け、研究結果の信頼性や妥当性を高めると同時に質の向上にも努めていきたい。
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Causes of Carryover |
研究データ全般をまとめてその結果について看護教育、教育学、発達障害のエキスパートである精神科医からスーパーバイスを受ける予定だったが、結果のまとめに至らず、その謝金、旅費を計上できなかった。また、ワーキンググループとしての事例検討・グループインタビューの実施が3月となったため、平成28年度予算で処理できなかった。 その他の理由としては、平成28年度に予定していた本研究における文献検討に関する学会発表が、本研究の内容に適する学会が見つけられず、行えなかったため学会参加費及び旅費が発生しなかったことがあげられる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
前年度から持ち越した研究結果全般のまとめを行い、それについて専門家から高度なスーパーバイズを受ける、ワーキング・グループで検討するといった作業を実施しその費用(謝金、交通費、会議費)として使用する。 事例をタイプ分類し、それぞれに適した介入方法や配慮すべき点を提示するために、教育学及び発達障害者の治療及びアプローチ法の専門書を追加で購入し、読み込み、介入についての知見を整理する必要がある。その作業については研究作業補助のアルバイトを雇用し、作業の迅速化をはかる。さらに、研究結果の質の向上のため、看護教育、教育学、発達障害治療の専門家である児童精神科医等が主体である学会等各種に参加し、新たな知見の獲得、学会参加者との意見交流といった活動を行っていく。前年度から持ち越された学会発表も平成29年度開催の学会で行う予定であり、それらの学会の参加費、旅費として研究費を活用する。
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