2016 Fiscal Year Research-status Report
看護とリハ職チーム医療の入院患者ADL・認知症予防、職員負担軽減立証と費用対効果
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15K11561
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Research Institution | Takasaki University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
田中 聡一 高崎健康福祉大学, 保健医療学部, 教授 (20272247)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 入院患者 / 日常生活動作 / 認知症 / チーム医療 / 病院管理 / リスク管理 / 予防 / 費用対効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
患者(特に高齢者)が病院に入院すると、歩けなくなるなどの日常生活動作が低下し、また、入院中に認知症が進行することがあるなど、社会的な問題が生じている。一方、このような状態の患者に対して、治療だけでなく、入院生活も支える病院職員の身体的、精神的負担が大きいことも別の視点で社会的問題となっている。両者をともに満足させる研究は少しずつみられるようになったものの、学術性はほぼ無く、事例報告にとどまっており、問題解決のためにはエビデンスの高い研究成果を発信しなければならない。さらに、このような試みを社会的に広げるためには、今の日本では費用対効果の検討なくしてすすめる事はできない。そこで、今回の申請研究では「看護とリハ職チーム医療の入院患者ADL・認知症予防、職員の負担軽減立証と、費用対効果」について検討した。課題は大きく2つに分けられるが、1つは入院患者ADL・認知症予防、職員の負担軽減立証について、もう一つは費用対効果についてである。 1つ目の課題については概ね順調に進行しており、対象にしている組織運営の継続に関する検討を学術論文として発表できた。さらに研究を発展させ、よりエビデンスの高い研究につなげたい。 一方、2つ目の課題、費用対効果に関しては「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」に準じて研究を慎重に進めなくてはならなくなったため、やや進行が遅れている。しかしながら、研究手法はCSR費用対効果手法を用いて解析できると思われる。データは概ね揃っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
入院患者のADL低下・認知症の予防については、ほぼ再現性も確認できている。また、職員の負担軽減については、当初予定していた看護職員、リハビリテーション職員だけでなく、事務職員も対象として加えて調査し、アンケート文から共通する言語を抜き出し、カテゴリー化することによって、入院患者がADLを低下させず、認知症を進行させず、職員負担もかけさせることが減るような病院運営をつくるための検討を行い、学術論文として発表した。(大澤幸枝、田中聡一;入院患者に対する院内デイケア体制継続に重要な要素のカテゴリー化による内容分析;医療福祉研究(印刷中))。 一方、費用対効果に関しては「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」に準じた研究進行が必要になったため、慎重に研究を進めている。研究に必要なデータ(入院患者のADLに関するデータをFIM評価法で解析し、量的解析までできている。認知症に関しては3つの認知症評価スケール、職員負担に関してはVASを用いた解析結果を、そして費用対効果に関しては、人件費や光熱費などを含めた運営費と患者の入院費)などがほぼ揃っている。
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Strategy for Future Research Activity |
進行が遅れている要因の1つに、「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針(平成26年文部科学省・厚生労働省告示第3号)」があり、慎重に研究を進めていた。さらに、平成29年2月28日告示、5月30日から施行となる改訂版「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」が打ち出され、本指針は個人の匿名化などに重点が置かれたものであり、より慎重にすすめなければならなくなった。いことである。そこで、研究協力をいただいている関連病院で院内での掲示やホームページでの掲示などで対応し、研究が進められるよう努力する。もちろん、この掲示などで個人が特定されないように十分な配慮をし、かつ、患者および家族に精神的負担をかけないなど、社会的、道徳的にも配慮を十分はかった対応をとる。研究期間修了までには費用に関する結果を得て、社会発信する時間はあると思われるが、倫理に関することであり、この点については倫理を最優先して、研究進行を無理にすすめないようにする。
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Causes of Carryover |
「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」の改訂がなされ、倫理に関する研究を慎重に行わなければならなくなり、研究がやや遅れているため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
改訂版倫理指針では対象者の匿名に関して重点が置かれており、そのアナウンスなどに用いる。また、倫理審査などの過程が踏めたら、解析に必要な消耗品、ハード、ソフトを各研究協力施設に配置し、各研究施設でも社会発信してもらうための費用に充てる。
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