2016 Fiscal Year Research-status Report
汎用的能力を基盤とした災害看護実践力を育む看護基礎教育システム構築と検証
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15K11567
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Research Institution | Tokyo Kasei University |
Principal Investigator |
谷岸 悦子 東京家政大学, 看護学部, 准教授 (30248968)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
立石 和子 東京家政大学, 看護学部, 教授 (80325472)
今留 忍 東京家政大学, 看護学部, 教授 (30306667)
齋藤 麻子 東京家政大学, 看護学部, 講師 (70720390)
大澤 力 東京家政大学, 子ども学部, 教授 (20310394)
小原 真理子 日本赤十字看護大学, 看護学部, 教授 (00299950)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 災害看護 / 看護基礎教育 / 看護実践力 / 汎用能力 / 教育方法 / 災害看護教育システム / シラバス / 看護学生 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、看護基礎教育において「日常から非日常」を体験する災害時の看護実践力とその基盤となる汎用性能力を育てるための看護基礎教育システムの構築を目的とする。研究方法は、アクションリサーチである。看護学生が看護の場は、大学・実習病院・施設、自分自身が生活する地域であり、そこで生活する人々が看護の対象であること、災害は多種多様でありかつ被災状況は常に変化し続けることを踏まえて、看護者に求められる看護を判断し実践できる能力と看護の対象者と共に成長できる力を身につけることができるプログラム開発を目指している。 そこで、災害看護の学習機会に関する調査とシステムに組み込む場の開拓を計画し、以下の3点について取り組んだ。 1.災害時の自助・共助力となり、看護活動における基礎的な知識と技術として、看護学科学生を対象に救急法講習会を開催した。自己を守り、他者を助けるための実践力の向上を図る機会となり、技術向上を目指すこと、非常時にこの力を活用することへの動機づけとなった。 2.原発事故の被災地である福島県にあるA保育園に通う子どもと保護者、教員の被災後5年となる日常生活を知り、看護支援活動を考える機会として、生活の場である地域をフィールドとしたイベントへ有志学生と教員が参加協力した。子どもたちは、保護者や仲間と共に地域を歩き、地域の素晴らしさを探求する。自分の住む地域の自然・物・人に目を向けながら、安全の確認、危険とその対応を学んでいた。子どもと保護者の姿から看護の対象である「人々の生活と健康」「災害慢性期における看護のあり方」を検討した。 3.大学生活における災害への備え、大学の役割を考える機会として、学生・教職員・地域住民を対象とした公開セミナーを開催した。災害時の備えの要点は、大学と実習施設との連携、両者が設置されている地域特性・行政を含めた具体的な対応策を確立することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
・看護基礎教育における災害看護の実践場面への参加機会を確保することと学生が参加するにあたっての安全性の確保と保証を慎重に行うことが必要である。 ・学生の参加が可能な機会・場面でも学生の受入れ人数に制限があり、学生数に合わせたプログラムの準備が必要である。 ・教科目内での学習―教育内容の充実と課外活動の教育・指導にあたる教員及び指導者の災害看護、災害医療、災害時の救援活動における実践能力の向上を図る機会(打合せ・研修会)も必要となる。現在は、災害看護、災害救援等にかかわるネットワークを活用して教育・指導に協力が得られる人材に依頼をしているため、災害看護の学習機会の整備に時間を要する。 ・本年度は、救急法講習・各看護領域での災害・救急看護に関する教授内容が可視化され連携ができ始め、次年度には4年間の教育プログラムにつながりをもち、発展させていく段階にきているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
・災害看護の学習をする学生の災害看護に関する学習成果の評価(質的・量的からの分析)と災害看護及び救急看護法に関する授業・演習の教育=学習方法に関する評価を災害看護科目担当教員を中心に実施し、次年度への準備をする。災害医療、災害看護に関する実践者・教育者・研究者とのネットワークが広がりができ、本研究への協力が得られるため、災害看護を学ぶ機会での助言・実施とともにデータ分析・結果への検討を多角的に実施することを目指す。 ・昨年度に引き続き、東日本大震災に加えて平成28年度熊本地震の看護支援活動の現状調査を実施し、教育内容として必要な要素・事柄の抽出・検討を実施する。 ・これまでに整備してきた災害看護を学ぶ機会・場への学生参加は人数制限があるが、広く参加を呼びかけを学生の主体的な参加を促す。1年次から4年次のいずれかに参加できるように学習の機会を設置する。大学周辺の地域また実習施設やその周辺地域での防災・減災に関するイベントや研修会、セミナー等へ参加を促す。また、他大学の学生との交流ができる機会の紹介も行い、学生間での研鑽ができることも視野におき、4年間の災害看護学習プログラムの構築に着手する。 ・学内外へ災害看護教育に関する具体的方法の提示、特に改善点に関する教材の獲得と開発、協力人材の確保にも積極的に取り組む。 ・実施したプログラムの評価を実施する。
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Causes of Carryover |
災害看護教育に必要な教材作成費として計画していたAED/モデル人形を他領域と共同して使用が可能であり、消耗品補給および修理に回すことで、経費の軽減ができた。さらに、現在、アクションリサーチで行っている災害看護教育機会の場が年度末となり、消耗品の補充、備品のメンテナンス経費および研究計画協力へ謝礼が次年度となること、公開セミナーの講師等からは謝礼の辞退等もあり、使用額が少なくなっている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
災害看護教育の実践とその評価を行い、平成29年度後半での災害看護教育機会の設定・実施のための連絡・調整、教材の改善と新規作成を図り、テキストの作成に着手する。災害看護教育の場を教科および課外活動へ広げ、その機会を活用した学生および教育・指導者へのアンケートおよび結果分析、成果をまとめ、その公開を行う。
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Research Products
(14 results)