2015 Fiscal Year Research-status Report
新興・再興感染症および生物災害に対する看護師の準備性と教育に関する研究
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15K11574
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Research Institution | National Center for Global Health and Medicine |
Principal Investigator |
森 那美子 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 研究員 (20421828)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 災害看護 / 新興・再興感染症 / 生物災害 / 準備性 / 看護師継続教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、新興・再興感染症の出現や世界的規模の流行が発生し、各国の医療システムのみならず社会的全体でも大きな問題となっている。日本でも、新興・再興感染症が発生もしくは侵入する可能性がある。看護師は直接的な患者ケアだけではなく、幅広い内容の業務を担当するため、新興・再興感染症に関する知識や技術を身につけている必要がある。平成27年度は(1)初期診療を担当する可能性のある看護師の、新興・再興感染症および生物災害に対する準備性について明らかにする(2)外来および救急医療担当部署を有する医療施設に勤務する看護師の、新興・再興感染症および生物災害に関する継続教育について明らかにすることを目的として質問紙調査を郵送法にて行った。(1)の調査対象は層化無作為抽出した外来および救急医療担当部署を有する808病院に勤務する看護師(各施設3名)、(2)は同施設の看護師継続教育担当者(各施設1名)とした。調査項目は、(1)では新興・再興感染症および生物災害の基本的知識、生物災害発生の認知の傾向、新興・再興感染症に対する取り組みの有無など66項目とした。(2)では看護師継続教育における微生物学・感染症学・感染症看護学・感染制御学的内容の有無と位置づけおよび時間配分、対象施設における危機管理マニュアルおよび感染管理マニュアルの有無と内容、感染症医・感染管理認定看護師・感染対策チーム等の有無と活動など66項目とした。調査にあたり、国立国際医療研究センター倫理委員会による審査を受け、承認を得た。(1)については、272施設594名からの回答を得た(施設回答率33.7%、対象者回答率24.5%)。(2)については、253施設253名からの回答を得た(回答率31.3%)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成27年度に開始した上記調査に関して、国立国際医療研究センター倫理委員会の倫理審査および全国808医療施設を対象とした質問紙調査が終了している。研究スケジュールの変更、各種作業の外部委託困難などの制約により、質問紙データ入力以降の作業に多少遅延が生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度に開始した上記調査に関しては、早急にデータ入力作業を終了し、解析・公表(研究協力施設への報告、学会発表および学術誌への投稿)を行う。解析では、平成27年度調査結果について、申請者が平成18年度に実施した同様の調査の結果と比較検討し、この10年間の看護師継続教育における生物災害教育の進展と方向性を明らかにする。 並行して、平成28年度研究計画を実施する。平成28年度は、看護師養成課程における新興・再興感染症および生物災害に関する教育の実態について調査を行う。全国の看護師養成課程(大学・短期大学3年課程・養成所3年課程、約800校)の教育担当者に対して、看護師養成カリキュラムにおける災害看護教育の有無と位置づけ、時間配分と内容に加え、新興・再興感染症および生物災害に関する事項の有無と時間配分について質問紙調査(郵送法)を行う。また、看護師養成課程における微生物学・感染症学・感染症看護学・感染制御学的内容の有無と位置づけ、時間配分に関する調査を行う。平成28年度調査結果について、申請者が平成19年度に実施した同様の調査の結果と比較検討し、この10年間の看護師養成課程における生物災害看護教育の進展と方向性を明らかにする。さらに、平成28年度調査で得られた結果を元に、看護師養成課程における新興・再興感染症および生物災害看護に関する教育の方向性と必要な教育内容を抽出するとともに、効果的な手法を検討する。
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Causes of Carryover |
研究スケジュールが繰り延べになり、アンケート調査の後納郵便利用代金および報告書作成費として確保していた金額が平成27年度内に使用できなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度調査結果に関して、今後解析・公表(研究協力施設への報告、学会発表および学術誌への投稿)を行う際に、次年度使用額を用いる。並行して実施する平成28年度調査には平成28年度交付金を用いる。研究計画の円滑な遂行を目指すとともに、交付金を適切に使用する。
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