2016 Fiscal Year Research-status Report
生体肝移植ドナーの術後支援に向けた相談システムの開発と評価
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15K11582
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
師岡 友紀 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (40379269)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉村 弥須子 森ノ宮医療大学, 保健医療学部, 教授 (10321134)
梅下 浩司 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (60252649)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 生体ドナー / 生体肝移植 / QOL |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度、研究計画上の問題(情報管理および倫理的な問題)をふまえ「看護師の行う相談システム」の在り方を再検討した。研究計画を見直し、相談窓口業務は限定的な対象で実施し、不特定多数の対象にはQ&A方式で情報を提示することに変更した。その計画変更に基づき、今年度は肝提供後のドナーの外来におけるニーズを明らかにする目的で調査を実施した。 大阪大学医学部附属病院介入・観察研究倫理審査委員会の承認を得て、肝提供後のドナーの受診状況、創や消化器症状、肝機能データやレシピエントの状況を診療録より収集し、ドナーの属性や術前の身体状況、レシピエントとの関係性や予後との関連を検討した。 結果、必要な情報を確認できた対象数は238名であった。術後に実施されたエコー検査で脂肪肝の診断がなされたドナーは13名(5.5%)ですべて男性であった。χ2検定と多重ロジスティック回帰分析にて脂肪肝に有意に関連があった要因は、性別(p=.002)、術前脂肪肝の有無(p=.000)、術後体重変化(p=.002)、手術時年齢(p=.010)であった。受診状況に関して、術後1年目の受診(受診率)は206名(86.6%)、創症状ありは38名(16.0%)、消化器症状ありは25名(10.5%)であった。創症状の内訳は、かゆみ14名(5.9%)、肥厚性瘢痕14名(5.9%)、痛み9名(3.8%)、つっぱり5名(2.1%)、その他ヘルニア等5名(2.1%)であった。消化器症状の内訳は下痢8名(3.4%)、便秘・腹部の張り8名(3.4%)、その他イレウス等9名(3.8%)であった。背景要因による症状の有無を検討したところ、手術時年齢と傷症状の自覚に関連が認められた。現在、受診率と背景要因に関しても分析中である。 今後、上記の成果を学会で発表するとともに論文に仕上げ投稿予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
診療録より得られたデータより、ドナーのニーズが把握でき、情報提供が必要な事項が明らかになった。また、術後に指導が必要な項目も明らかにできた。相談システム上で提供するべき内容の骨子がまとまりつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
当初予定から変更し、得られた成果に基づきWeb上で展開する「相談および情報提供システム」を作成する。このシステムには、①ドナーが自らの身体状況を記録保管する手帳のような役割、②退院指導のパンフレット、③外来受診メモ、④肝提供術後のQ&A、などを兼ね備えたサイトを展開する予定である。 次年度は、作成したサイトの評価まで実施することを目指す。
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Causes of Carryover |
今年度は概ね予定通りに進行しているが、前年度、産休育休で研究計画に遅れを生じた結果、年度内に研究発表をできなかったことが未使用額が生じた原因である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に研究発表の予定が複数回あるため、その旅費で使用する予定である。また、論文投稿に関わる英文校正用の費用としても使用する予定である。
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