2016 Fiscal Year Research-status Report
糖尿病患者の人工関節術後感染予防のための患者参加型地域連携血糖管理システムの開発
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15K11584
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
上杉 裕子 神戸大学, 保健学研究科, 准教授 (40423230)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木戸 良明 神戸大学, 保健学研究科, 教授 (10335440)
西井 孝 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座准教授 (70304061) [Withdrawn]
黒田 良祐 神戸大学, 医学研究科, 教授 (80379362)
関戸 啓子 京都府立医科大学, 医学部, 教授 (90226647) [Withdrawn]
林 申也 神戸大学, 医学部附属病院, 特命助教 (20437487)
松本 知之 神戸大学, 医学部附属病院, 助教 (50546588)
橋本 慎吾 神戸大学, 医学研究科, 特命助教 (20457089)
高山 孝治 神戸大学, 医学部附属病院, 医員 (80546490)
築田 誠 神戸大学, 保健学研究科, 助教 (40617594)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 糖尿病 / 人工関節置換術 / 血糖値 / 炎症反応 / WEB / 自己管理 |
Outline of Annual Research Achievements |
人口の高齢化に伴い、慢性疾患を持つ人工関節患者が増加しているが、糖尿病(DM)は感染のリスク群である。周術期高血糖による易感染性を防ぐためには、術後血糖をコントロールする必要がある。我々は、①人工股関節全置換術(THA)患者と人工膝関節全置換術(TKA)患者の周術期血糖と炎症反応の比較および、②術後5日間の詳細な血糖値の検討を行った。①THAとTKA患者における術前および術後1年間のデータをカルテより年齢、性別、身長、体重、BMI、血糖値、HbA1c(NGSP)、CRP、白血球を調査した。患者属性はTHA/DMなし128人平均年齢66.8歳。 THA/DMあり36人:67.9歳。TKA/DMなし140人:73.0歳。 TKA/DMあり37人:73.4歳 であった。TKA/DM群はTHA/DM群に比べ、平均年齢、BMIが有意に高く、術後1-4日目、5-11日目の検討において、CRP・白血球などの炎症反応値も高かったことから、より体重コントロールや術後観察の必要性が示唆された。②人工関節置換術患者の術後血糖推移の詳細な把握をするために、自己血糖測定器(SMBG)に加えて、術後の連続的な血糖変動を評価する持続血糖測定器(CGM)を用いた。THA・TKA患者で糖尿病あるいは境界型と診断された5日以上血糖測定できた12人で検討を行った。平均年齢は68.8歳(男3、女9)、平均HbA1cは6.9mg/dl、術前平均空腹時血糖は140.7mg/dlであった。術後CGM測定で血糖が200mg/dlを超えた患者数は11患者、SMBG測定で血糖が200mg/dlを超えた患者数は8患者であった。CGMで測定した血糖値の特徴は、術後3日までは血糖値の変動が大きく、変動が大きい際には摂取する食事量が多い傾向であった。 糖尿病患者では、周術期インスリンを使用したにも関わらず、血糖の変動が大きい傾向であった。境界型に分類される患者でも、CGM測定した血糖値が高く、食事量が増えれば、血糖値の変動が大きい傾向であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題は糖尿病および境界型の下肢人工関節置換術患者の、周術期の血糖値や感染リスクを検討し、患者が退院後にWEBを介して医療者と連携しながら自己管理を適切に行うことを目指している。平成28年度は「糖尿病のある人工股関節全置換術(THA)患者と人工膝関節全置換術(TKA)患者の術後血糖と炎症反応の推移」を検討し、患者の周術期の血糖管理の課題とその重要性を明らかとした。また、すでに患者自己管理を促すための「地域連携システムWEB」の開発は最終段階にあり、患者自己管理を促進し、人工関節置換術を行った整形外科医、糖尿病を経過観察している内科医、患者支援を行う看護師で血糖値を継続して管理できる、「予備群を含む糖尿病患者の下肢人工関節手術後感染予防のための患者参加型地域連携血糖管理 ICT システムWEB」は完成間近である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は本研究課題により開発した「予備群を含む糖尿病患者の下肢人工関節手術後感染予防のための患者参加型地域連携血糖管理 ICT システムWEB」の使用効果の確認を予定している。対象患者を糖尿病と診断された患者だけではなく、予備群として治療などの介入が積極的に行われていない群も対象とする。患者には血糖測定器および 自己情報入力のための WEB の ID とパスワードが付与され、WEBに血糖値などの情報を入力していただく。 研究者により、患者への説明、術後管理についての励ましや促し、患者の自己管理を促進する Self-Efficacy が高まるよう WEBを通して介入を行う。 整形外科主治医、内科主治医、患者を支援する看護師は WEB システム内を閲覧でき、医療チームでの患者管理を行う。アウトカム評価として、アンケート「慢性病者の自己管理能力を査定する質問紙:Self-Care Agency Questionnaire (SCAQ)」と、「何らかの行動をきちんと遂行できるかどうかという予期を査定する:一般性セルフエフィカシー尺度(GSES)」、「手術した関節による身体の状態を測定する:Oxford Score (股関節手術の人は股関節版、膝関節手術の人は膝関節版)」を用い、患者の自己管理行動と自己効力感、身体機能がどのように変化したかを確認する。アンケート調査は経時的に行い(術前、術後1か月、術後3カ月)、介入効果を検討する。 研究が当初計画通りに進まない場合として、対象患者が少ないことが想定される。その場合は、該当施設を増やすために、研究者所属大学病院などにも研究協力依頼を行う。 また、WEBに不具合が生じることも想定される、その場合はWEB開発会社であるブランドCTと相談しながら、システム改善に取り組んでいく。
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Causes of Carryover |
研究対象者である患者へ渡す血糖測定器の購入を予定していたが、患者の使用しやすさを考え、病院の購入機種と同じにするために、病院に新年度購入機種を確認してから購入することとなったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
患者への介入効果を検討するため、病院において、患者に説明し、研究参加をお願いする。そのための人件費として使用する。また介入のために必要な血糖測定器を購入する。 これらのデータの入力と解析のための人件費にも使用する。
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Research Products
(2 results)