2017 Fiscal Year Research-status Report
糖尿病患者の人工関節術後感染予防のための患者参加型地域連携血糖管理システムの開発
Project/Area Number |
15K11584
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
上杉 裕子 神戸大学, 保健学研究科, 准教授 (40423230)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木戸 良明 神戸大学, 保健学研究科, 教授 (10335440)
西井 孝 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座准教授 (70304061) [Withdrawn]
黒田 良祐 神戸大学, 医学研究科, 教授 (80379362)
関戸 啓子 京都府立医科大学, 医学部, 教授 (90226647) [Withdrawn]
林 申也 神戸大学, 医学部附属病院, その他 (20437487)
松本 知之 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (50546588)
橋本 慎吾 神戸大学, 医学部附属病院, その他 (20457089)
高山 孝治 神戸大学, 医学部附属病院, その他 (80546490)
築田 誠 神戸大学, 保健学研究科, 助教 (40617594)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 糖尿病 / 人工関節置換術 / 血糖値 / 自己管理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、A大学病院人工膝関節置換術(TKA)・人工股関節置換術(THA)を受けた術前患者の身体状況の実態を調査した。倫理的配慮として、個人が特定できないデータとした。2011年10月から2015年12月までに手術を行ったTKA患者177人、THA患者164人を対象とした。糖尿病の既往があったのはTKA37人(20.9%)と、THA36人(22.0%)であった。平均年齢はTKA糖尿病あり群(DM群)73.4歳、糖尿病なし群(DMなし群) 74.8歳、THA DM群67.0歳、DMなし群66.8歳であった。BMI はTKA/DM群27.3、DMなし群25.9、THA/DM群25.7、DMなし群24.1であった。THA群の女性においてはDM群がDMなし群よりBMIが有意に高かった。(DM群(n=29)25.9:DMなし群(n=103)23.5;p=0.0136、Mann Whitney-U)DM群においての 血糖値とHbA1c(NGSP)はTKA群119.6mg/dl:7.0、THA群118.4:6.2であった。食事療法を行っている人はTKA群10人(27.0%):THA群6人(16.7%) 、運動療法8人(21.6%):2人(5.6%)、内服治療28人(75.7%):23人(53.9%)、インスリン療法8人(21.6%):9人(25.0%)であった。BMIは術後リハビリテーションに影響する要因であるが、TKAのDMあり群が最も高く、また、女性THA患者においてはDM患者のBMIが有意に高かった。これら患者への手術にいたるまでの体重コントロール介入の必要性が示唆された。術前の運動療法の実施割合の低さは、下肢関節障害が運動療法を阻害していた可能性もあり、早期の身体機能の回復を目指したリハビリテーションの促進は重要であると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題は糖尿病および境界型の下肢人工関節置換術患者の、周術期のリハビリテーション、血糖値や感染リスクを検討し、患者が退院後にWEBを介して医療者と連携しながら自己管理を適切に行うことを目指している。平成29年度は「人工膝関節(TKA)・股関節(THA)置換術を受ける糖尿病患者の身体状況」を明らかにし「患者の周術期の血糖変動と管理の課題とその重要性」を明らかとした。また、すでに患者自己管理を促すための「地域連携システムWEB」は完成し、患者への介入を行っているが、患者が途中脱落し、介入効果の検討にいたっていない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は本研究課題により開発した「予備群を含む糖尿病患者の下肢人工関節手術後感染予防のための患者参加型地域連携血糖管理 ICT システムWEB」の使用効果の確認を予定している。対象患者は糖尿病と診断された人工関節患者とし、自己管理を促進する Self-Efficacy が高まるよう WEBを通して介入を行う。アウトカム評価として、アンケート「慢性病者の自己管理能力を査定する質問紙:Self-Care Agency Questionnaire (SCAQ)」と、「何らかの行動をきちんと遂行できるかどうかという予期を査定する:一般性セルフエフィカシー尺度(GSES)」、「手術した関節による身体の状態を測定する:Oxford Score (股関節手術の人は股関節版、膝関節手術の人は膝関節版)」を用い、患者の自己管理行動と自己効力感、身体機能がどのように変化したかを確認する。アンケート調査は経時的に行い(術前、術後1か月、術後3カ月)、介入効果を検討する。 研究が当初計画通りに進まない場合として、対象患者が少ないことが想定される。その場合は、該当施設を増やすために、研究者所属大学病院などにも研究協力依頼を行う。 また、WEBに不具合が生じることも想定される、その場合はWEB開発会社であるブランドCTと相談しながら、システム改善に取り組んでいく。
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Causes of Carryover |
対象患者を増やすことと、研究成果報告を行う学会発表を次年度に行うこととしたために使用額が生じた
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Research Products
(2 results)