2017 Fiscal Year Research-status Report
患者との死別を体験する看護師のグリーフワークを支援するプログラムの開発
Project/Area Number |
15K11619
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
山崎 智子 東京医科歯科大学, 大学院保健衛生学研究科, 准教授 (10225237)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内堀 真弓 東京医科歯科大学, 大学院保健衛生学研究科, 講師 (10549976)
本田 彰子 東京医科歯科大学, 大学院保健衛生学研究科, 教授 (90229253)
浅野 美知恵 東邦大学, 健康科学部, 教授 (50331393)
矢富 有見子 東京医科歯科大学, 大学院保健衛生学研究科, 講師 (40361711)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 看護師の死別体験 / グリーフケア / 看護師のセルフケア / 支援プログラム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、病院において死にゆく患者とその家族をケアする看護師が、死別により体験する悲嘆、不全感やジレンマなど否定的な体験 による疲弊や離職を防ぐために、自身の経験を意味あるものに転換できるよう、看護師のグリーフワークを支援するプログラムを構築し、それを検証することである。本年度の研究目的は、患者との死別を経験する看護師のグリーフやその強さに影響を与える要因、対処、現行の支援や望む教育、支援を明らかにすることである。 [研究成果] 1.質問紙調査・・患者との死別体験による看護師のグリーフに関する調査票3646通を送付し、1232通の返送があった( 回収率33.8%)。回答者の所属は総合病院が45.4%、ついで大学病院、がん専門病院が多かった。スタッフナースが72.5%を占め、専門看護師は1.1%、認定看護師は5.5%であった。経験年数は5~10年未満が23.9%、20年以上21.9%、10~15年未満が20.6%であった。親しい患者との死別体験の頻度は、年に2~5人が22%、5~10人は15%の順に多かった。心に残る死別では50%の人が体も気持ちも疲れ果てたと思い、無力感を感じ、やり残したことがある、強い悲しみが沸き起こることがあると回答し、79.7%が日常の業務の中で患者のことを思いだしていた。50%近くがその死別で情緒的・身体的に何らかの反応があった。患者の死の体験で退職や配置換えを希望していたのは3.2%、何度経験しても苦痛が強いが、まだ頑張っていきたいと37.4%が回答した。因子の関連性は分析中である。2.インタビュー調査・・16名に面接調査を行った。対象者は自身のグリーフはどうにか乗り越えてきたと感じていたが、涙とともにその時の思いを想起させる方も多く、知らずに募っていた思いを再認識されていた。個々人の背景もあるが、共通する支援の在り方の要素が見えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成28年度には競う調査を終える予定であったが、平成29年度までインタビュー調査が長引いた。本年度には看護師のグリーフを促進する支援プログラムを作成し、臨床の看護師への適用を進める予定であることより、研究の達成度は「やや遅れている」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は調査票とインタビューの分析の結果を踏まえプログラム作成に取り掛かり、介入研究の倫理審査の手続きを進め、患者との死別を体験する看護師のグリーフワークを促進するプログラムを適用し、その効果を検証しながら、プログラムを精錬していく予定である。
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Causes of Carryover |
(理由)28年度実施した「患者との死別を体験する看護師のグリーフワークを支援するプログラム開発のための基礎研究」調査票の配布に関して、依頼した看護部からの配布希望が予定数よりも多く、調査票の配布のために予算を超過し、40万円の前倒し申請を行うという変更が生じた。しかし面接調査が予定より少なく、交通費として予定していた金額が29年度も余ってしまった。 (使用計画) 平成30年度は、患者との死別を体験する看護師のグリーフワークを支援するプログラムを適用するために、関連する消耗品等の物品費 、学会や専門的知識の蓄積のため研修の旅費及び参加費、調査結果の整理に関する作業に予算を使用すること予測される。
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