2015 Fiscal Year Research-status Report
胃切除術後患者の食生活管理実践化のための外来看護師による指導体制づくりへの提言
Project/Area Number |
15K11620
|
Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
古屋 洋子 山梨大学, 総合研究部, 講師 (80310514)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 美知子 山梨大学, 総合研究部, 医学研究員 (80227941)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 胃切後術後患者 / 食生活管理 / 外来看護 / 指導体制づくり |
Outline of Annual Research Achievements |
胃切後術後患者は周手術期を過ぎると退院し,在宅での療養生活を送りつつ,もとの仕事あるいは家事に復帰していく。胃切除術後患者は,食事に慣れる3ヵ月~半年程度までは体重減少を認め,更に,身体機能や栄養状態が十分に回復していない時期より補助化学療法が追加されることも少なくない。術後の体重減少は,術後補助化学療法のリスクファクターとなり,がん治療の補助化学療法における栄養管理の重要性が示唆されている。 本調査では,胃切除術後患者の退院後1 ヵ月,3 ヵ月,6 ヵ月の食物摂取状態(PFC バランス(たんぱく質:脂質:炭水化物/エネルギー%比))と身体計測(BMI) / 血液・生化学的指標と自覚症状に着目した,食生活管理状態を調査し,胃切除術後患者の栄養状態への関心の変遷の特徴を明らかにすること。またその結果を外来看護師,管理栄養士,医師と共有し,相互に連携した,外来での患者の主体的な食生活管理実践化のための継続的な指導体制づくりを検討している。 平成27年度は,胃切除術後患者の栄養評価に関する文献を精読し,調査内容を精選し,患者からのデータ送受信環境の整備を行った。調査内容は,以下の項目から構成することとした。1.基本属性:年齢,性別,術式等,2.食事摂取状態:間食を含む食事内容を撮影,データ送信してもらう。画像データより,1 日の食事摂取量と献立,食品,重量,摂取品目とその種類別摂取量を算出する。また栄養評価ソフトを用いて,エネルギー,たんぱく質,脂質,炭水化物,カルシウム,鉄,栄養素別摂取量・充足率,食品群別摂取量・充足率,PFCバランス等の栄養価を算出する。3.回復状態;(1)自覚症状:術後侵襲と胃・消化機能の低下に伴う症状を含む20症状をたずねる。(2)BMI / 血液・生化学検査:体重等の変動にはBMI,血液生化学検査としてAlb, HDL-Cho, HbA1c,FBS, Feを用いる。(3)栄養状態への関心:5段階評価。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
調査内容を精選,データ送受信環境の整備に時間を要した。プレテストが終了次第,本調査を開始する予定である。研究協力施設の年間胃切除術実績は,50例(腹腔鏡補助下胃切除術20例,幽門側胃切除術15例,胃全摘術患者15例程度)であるため,平成28年度データ収集完遂は可能と思われる。
|
Strategy for Future Research Activity |
1.本調査の実施:研究協力施設の平成26年度の胃切除術(腹腔鏡補助下胃切除術,幽門側胃切除術,胃全摘術患者を含む)後患者の入院加療実績は,約50例。そのため,対象者数は胃切除術後患者(腹腔鏡補助下胃切除術,幽門側胃切除術,胃全摘術患者を含む)各10名の合計30名。退院後1ヵ月,3ヵ月,6ヵ月に前述(平成27年度)の調査内容を用いて本調査を実施する。 2.データの入力・解析:得られたデータは,順次入力を開始する。データベース作成に関しては,全関係者に「守秘義務」を徹底しセキュリティー環境を確保する。食事摂取量におけるエネルギーおよび各栄養素量の計算は,五訂増補日本食品標準成分表を用い,栄養評価ソフトにより算出する。データ分析は,術式別(腹腔鏡補助下胃切除術,幽門側胃切除術,胃全摘術患者)に以下の視点で行う。(1)胃切除術後,退院後1ヵ月~6ヵ月の食事管理状態(食事摂取状態,回復状態,栄養状態への関心)の経時的変化の比較には,反復測定一元配置分散分析を用いる。(2)各期における食事管理状態の比較には,t 検定とMann-Whiteny のU 検定を,食事管理状態の関係には,Pearsonの積率相関係数を用いる。統計解析ソフトIBM SPSS Statistics version 21.0J, for Windows (SPSS IBM Japan Inc., Tokyo, Japan)を用い,すべての解析は両側検定とし,有意水準は0.05とする。 3.外来看護師,管理栄養士ならびに医師との食事指導連携体制づくりに関する問題と課題の分析:外来看護師,管理栄養士ならびに医師が,現在外来で実施している食事指導の実態を調査し把握する。H28年度は,研究代表者による調査を実施し,得られた結果を医療者間(当該外来看護師,管理栄養士,医師)で共有・検討する。
|
Causes of Carryover |
昨年度,調査内容を精選・検討し,データ送受信環境を整備するために時間を要した。そのため,プレテスト,本調査の実施の開始時期が遅れている。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
本調査開始時期が当初予定より遅れており,次年度使用額は,血液生化学検査分析の支払に充てる予定である。また逐次,データ分の入力・分析を進めるために統計解析ソフトIBM SPSS Statisticsが必要であり,ソフト購入及び研究分担者との分析結果の検討、成果の発表に充てる予定である。日本看護科学学会,The European Society of Clinical Nutrition and Metabolism 等への発表,投稿を検討している。
|