2019 Fiscal Year Research-status Report
沖縄独自の死の文化を基盤にした看取り教育プログラムの開発
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15K11639
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Research Institution | Okinawa Prefectural College of Nursing |
Principal Investigator |
謝花 小百合 沖縄県立看護大学, 保健看護学研究科, 准教授 (30647003)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荻堂 亜梨沙 沖縄県立看護大学, 看護学部, 助手 (20751879) [Withdrawn]
神里 みどり 沖縄県立看護大学, 保健看護学研究科, 教授 (80345909)
永野 佳世 沖縄県立看護大学, 看護学部, 研究員 (90709510) [Withdrawn]
源河 朝治 沖縄県立看護大学, 看護学部, 助手 (70808576) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 文化的特性 / 看取り |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、地域の文化的特性を取り入れた看取りの概念を明確にし、沖縄独自の死の文化を基盤とした終末期がん患者の看取り教育プログラムの開発を目的としている。開発した教育プログラムを沖縄県内のがん拠点病院等の看護師を対象に実施し、評価することで病棟から外来、在宅へとつなぐ持続的な地域文化に根ざした質の高い看取りケアの明確化と教育プログラムの構築を図る。 令和1年度は、離島の診療所や病院に勤務する看護師3名に対して、離島における看取りの際にどのような文化的な配慮が実践されてるのかについて半構造化面接を実施した。その結果、患者の最期の希望を知っていることで、看護師は〔その人の思いを代弁し、島でその人らしさを支えての看取り〕、〔看護師の見立てを伝え、家族が決定したことに寄り添う〕や〔死後のケアは家族が主体的になれるように島で培った経験を活かせるように支援〕を行うなど【患者の価値観を理解し、島の暮らしのなかでの看取り】の看護実践を行っていた。一方で、地域との関係性が深いため、島の人に弱った姿を見せたくないという思いから、【最期は島に帰りたいけど帰れない葛藤を抱え苦悩】する患者がいることも理解していた。 離島の病院では、患者が亡くなる前からユタと呼ばれる霊能者(シャーマン)との関わりがあり、〔ユタの存在と亡くなっていく人の神聖な時間と場所の確保など【死にゆく患者との別れの時間が過ごせるための配慮】を行っていた。患者が亡くなった後は、看護師は〔診療所の処置室や病室あるいは霊安室で家族やユタがヌジファを行う〕など【亡くなった患者のマブイをあの世に導くヌジファ(抜霊)の儀式】のための時間を確保していた。島に葬儀社がない時は、自家用車や軽トラックの荷台でご遺体を運ぶなど〔島で暮らす人たちの慣習〕や地域の人たちが〔遺影や飾りを準備〕するなど【島で暮らす人たちの死の文化を受け入れる】ことを行っていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究が遅れている理由としては、昨年度末から新型コロナウイルスの影響ため、病院関係者との調整ができないことなどであった。
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Strategy for Future Research Activity |
沖縄の文化的特性を取り入れた看取りについての調査を基に、アンケート作成を行う。その後、研究協力者である沖縄県内のがん看護専門師と緩和ケア認定看護師の協力を得て、アンケート内容の妥当性の確認を行う予定である。その後、沖縄県内の看護師を対象に沖縄の文化的特性をふまえた看取りに関するアンケート 調査後に看取り教育の内容を整理し、沖縄独自の死の文化を基盤とした終末期がん患者の看取り教育プログラムの開発を行う予定である。
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Causes of Carryover |
(理由) 今年度、新型コロナウイルスの影響で、離島や諸外国への渡航が困難な状況になり現地調査が実施できなかった。また、新型コロナの影響で、対面で行う面接調査ができなかったため、ICTを取り入れたり、Zoomでの面接調査を行った。しかし、計画の遅れでアンケート調査には至っていない。 (使用計画) 令和2年度はアンケート調査を実施し、海外での学会に研究の成果を発表する予定である。
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