2015 Fiscal Year Research-status Report
がん合併妊娠における患者および家族と医療者の共有型意思決定モデルの構築
Project/Area Number |
15K11649
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Research Institution | Kansai University of Social Welfare |
Principal Investigator |
堀 理江 関西福祉大学, 看護学部, 准教授 (20550411)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 志津枝 神戸市看護大学, 看護学部, 教授 (00149709)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | がん合併妊娠 / 意思決定 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、がん合併妊娠患者および家族と看護師、産婦人科医、治療担当医の、がんの治療方法に関する共有型意思決定モデルを構築することである。 平成27年度は、①がん合併妊娠に関する国内外の文献レビュー、②がん合併妊娠患者のがんの治療方法に関する意思決定に関わった、看護師と医師へのインタビューを行った。 ①文献レビューの結果、がん合併妊娠患者の治療の経過は把握できたが、患者の体験や思いに焦点を当てた研究はほとんどなされていないことが分かった。 ②では、がん合併妊娠患者に継続的に関わった看護師4名と、治療を担当した医師4名へのインタビューを実施した。患者のがんの部位は、乳がん3名、悪性リンパ腫1名であった。看護師は、がん看護専門看護師1名、乳がん看護認定看護師2名、乳腺外科師長1名であった。がん合併妊娠が分かってから初めて受診した時期は、妊娠11~35週であり、全員が児を無事に経腟分娩あるいは帝王切開で出産していた。治療担当医は、多くの場合、中絶と妊娠継続の選択肢を示し、治療を待つことのリスクや治療の副作用について説明していた。そして、患者と家族、医師、看護師が治療上の意思決定をしていく上で、患者と胎児どちらの命を優先するかという葛藤があり、家族間での意見が異なっている場合もあった。看護師は、自分自身の価値観に気づき、その価値観を患者や患者家族に押し付けないように、患者の情報理解の程度や価値観を確認していた。また共有型意思決定は、治療方針を決定する際、治療を行っている際、出産する際など数回行われていた。さらに、看護師は、患者が妊娠を継続していく中で妊娠の喜びを感じられるよう、産婦人科医や助産師に協力を求めながら関わっていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の研究協力者は、事例ごとに個別性が大きいことが予測されたため、同一のがん合併妊娠患者を治療・援助した看護師、産婦人科医、治療担当医を1組としている。このため、研究協力者の承諾を得ることが非常に困難であり、そのことが「やや遅れている」理由である。理由としては以下のことが考えられる。 ①同一の患者を治療・援助した看護師、産婦人科医、治療担当医のうち、いずれかが異動や退職によりインタビュー依頼が不可能である、②同一の患者を治療・援助した看護師、産婦人科医、治療担当医に研究協力の承諾が得れても、直属の長となる者の承諾が得れない、③患者の療養の場に合わせて、関わる看護師が交替しており、継続的に関わった看護師がいない。 がん合併妊娠患者自体が少なく、受診している施設が多くない上、3者の承諾を得ることが非常に困難なため、進捗状況としてはやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も、インタビュー実施依頼とインタビューを実施していく。 インタビュー実施依頼は、すでにインタビューを実施している病院において、新たながん合併妊娠患者が受診した場合と、まだインタビュー実施依頼をしていない病院への依頼を並行して進める。また、研究協力への承諾を得ているが、研究協力者との日程調整が行えていない施設、継続的に関わった看護師が不在の施設があるため、それらの施設にも継続して状況を確認する。 研究協力者については、同一のがん合併妊娠患者を治療・援助した看護師、産婦人科医、治療担当医を1組としているとインタビューが今後も不可能な可能性が高いと考えた。したがって、看護師のみ、産婦人科医のみ、治療担当医のみでインタビューが可能な場合も、研究協力への承諾が得られればインタビューを実施していくこととする。
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Causes of Carryover |
インタビュー実施がやや遅れているために、インタビュー時に使用予定の旅費や謝礼代として約10万円を次年度に繰り越す。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
インタビュー実施時の旅費と謝礼代として使用する。
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Research Products
(2 results)