2015 Fiscal Year Research-status Report
妊婦のマイナートラブルに対する自律神経機能を用いた評価と介入方法の検討
Project/Area Number |
15K11653
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
成田 好美 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (80455881)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
兒玉 英也 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30195747)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | マイナートラブル / 自律神経機能 / 心拍変動バイオフィードバック法 / 妊婦 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は妊婦のマイナートラブル(以下MSとする)の発生機序の解明と改善のために自律神経機能に着目し,①妊婦の自律神経機能の状態とMSとの関連を明らかにする②妊婦のMSに対する心拍変動バイオフィードバック法の有効性を検討することを目的に行っている.対象者は健康な妊婦45名で,32~34週にMSの質問紙調査(消化器系,泌尿器・生殖器系,関節運動系,全身・精神系,循環器・血管運動神経系の5因子30項目)と全身・精神系については,睡眠状態,疲労感,不安感を追加した質問紙調査と自律神経機能の測定(心拍変動解析)を実施した.心拍変動バイオフィードバック法を3週間実施した22名を実施群,残り23名を対照群とした.36~37週に再度MSの質問紙調査と自律神経機能の測定(心拍変動解析)を実施した. 32~34週で50%以上の妊婦に発症しているMSは15症状であり,36~37週では11症状であった. 32~34週では関節運動系のMS点数とLF/HF と弱い相関を示した(r=0.316,P=0.036).36~37週では自律神経機能と相関を示すMS因子は認めなかった.32~34週と36~37週のMSと自律神経機能の変化について,呼吸法実施群および対照群それぞれに対し,対応のあるt検定を実施した.実施群では32~34週よりも36~37週で,消化器系のMS点数が有意に減少(P=0.015)し,全身・精神系の不安感の点数が有意に減少して(P=0.04)いた.対照群では,有意に点数が減少するMS因子はなかった.自律神経機能LF,HF,LF/HFは両群ともに有意差を認めるものはなかった. MSと自律神経機能との関連は,現時点では関節運動系の1因子が関連性を示すのみであるが,心拍変動バイオフィードバック法によって,消化器系のMS症状と全身・精神系の不安感を改善する可能性があることが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
サンプルは順調に集積できているが,目標数には達していない.また,心拍変動バイオフィードバック法は実施群に3週間実施してもらっているが,その間の実施日数や実施ポイント数,実施時間など実施状況は様々である.単純に心拍変動バイオフィードバック法を「実施した」,「実施しない」の分析では不十分と考えられる.そのため,実施内容を詳しく分析し,自律神経機能の改善およびマイナートラブルの軽減に効果があるとみられる心拍変動バイオフィードバック法の実施方法についての検討が必要である.
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Strategy for Future Research Activity |
今後も予定数の対象者の確保に向けて,研究協力の依頼を行い,データの集積をはかる.心拍変動バイオフィードバック法実施によって,自律神経機能に有意差を認めるものはなかったが,改善を認めると思われるマイナートラブル症状に消化器系,全身・精神系の不安感があった.しかし,心拍変動バイオフィードバック法は実施群に3週間実施してもらっているが,実施日数や実施ポイント数,実施時間などの実施状況が様々である.そのため,マイナートラブルおよび自律神経機能の改善に効果を認める心拍変動バイオフィードバック法の実施内容の分析が今後必要である.
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Causes of Carryover |
今年度は本研究の結果について,学会発表,論文投稿を行わなかったため,旅費および論文投稿費用が生じなかったことにより,残額が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
サンプル数を増やして調査を行っていく予定であり,今後も研究補助者への人件費や研究協力者への謝礼費用が必要である.次年度は本研究の結果をまとめ,学会発表,論文投稿を行っていく予定であり,旅費および論文投稿費用が生じるため,その予算を考えている.自律神経機能の理解のため,参考図書の購入も大幅に増えると思われる.
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