2016 Fiscal Year Research-status Report
高校卒業後における不妊症予防教育プログラムの開発-新たなRH教育アプローチ-
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15K11661
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
秋月 百合 熊本大学, 教育学部, 准教授 (90349035)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 不妊症予防 / 妊孕性 / 健康教育 / 介入研究 / 縦断研究 / リプロダクティブヘルス |
Outline of Annual Research Achievements |
1.「不妊症予防教育プログラム」を作成した。本プログラムの効果を検討するための縦断的介入研究を、熊本大学教育学部研究倫理審査委員会の承認を得て、大学2年生を対象に実施した。授業プログラムの前後に受講前調査、受講後調査として、妊娠、不妊、妊孕性等生殖に関する知識を問うアンケート調査を実施した(調査結果は現在統計解析中である)。研究対象者の知識の定着度をみるための、3ヶ月後調査の準備を終了した。 2.「不妊症予防教育プログラム」の効果について、さらなる検討を行うために、大学の教育学部生を対象としたケースコントロール研究の準備を進めた。当該テーマに関する教育に将来携わる可能性があることから、教育学部生を対象とした。 3.平成27年度の研究の成果を、国内外の学術集会等で公表した。「大学生の持つ妊娠・不妊・妊孕性の知識に関する調査」の結果を日本学校保健学会で発表し、「中学1年生向け妊孕性の知識を組み込んだ性教育プログラムの開発と実践に関する研究」の実践報告をアジアオセアニア性科学学会(国際学会)で行った。 4.「妊孕性と学校教育」と題した論文が性教育研究ジャーナルに掲載された。平成27年度にメンバーとして関わった熊本県「若者のライフデザイン推進プロジェクト」の成果として、「LIFE DWSIGH NOTE BOOK」を発行した。また県下の高校において、当該テーマの性教育講演を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度の研究計画通り、「不妊症予防教育プログラム」を作成し、熊本大学教育学部研究倫理審査委員会の承認を得て、大学2年生を対象に授業プログラムを実施することができた(介入研究)。授業プログラムの前後に受講前及び受講後調査として、妊娠、不妊、妊孕性等生殖に関する知識を問うアンケート調査を実施した。現在アンケートデータの入力を終了し、統計解析中である。知識の定着度をみるための3ヶ月後調査を行う予定であり、そのための準備も完了している。 平成27年度の実施の成果を国内外の学術集会等で公表することができた。「大学生の持つ妊娠・出産・妊孕性の知識に関する調査」の結果を日本学校保健学会で発表し、「中学1年生向け妊孕性の知識を組み込んだ性教育プログラムの開発と実践に関する研究」の実践報告を、アジアオセアニア性科学学会(国際学会)にて行った。 本研究テーマに関して、日本性教育協会(JASE)発行の現代性教育ジャーナルに「妊孕性と学校教育」と題して執筆することができた。 その他、熊本県の依頼により、若者のライフプラン教育のための冊子作成に携わることができ、また県下の高校から当該テーマに関する性教育講師の依頼を受け講演を行うことができた。さらには、将来本テーマに関する教育に携わるであろう教育学部生が、妊娠、不妊、妊孕性等の生殖に関する知識を十分に持っていることが重要との考えから、教育学部生の知識の実態を探るための次年度の調査実施の準備も行うことができた。当該調査対象をコントロール群とし、他の教育学部生(ケース群)へ「不妊症予防教育プログラム」を実施することで、プログラムの効果をさらに検討するためのケースコントロール研究の準備も進めた。研究の遂行に際し、各専門家から助言をもらい、特に不妊症患者団体より貴重な助言や講話をもらうことができた。 以上のことから、本研究は概ね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度の研究計画は、以下の通りである。まず、「不妊症予防教育プログラム」受講者の知識定着度を測るための縦断研究(3ヶ月後調査)を実施する予定である。実施準備はすでに整っており、受講者へアンケート用紙を郵送し返送してもらう計画である。その後、授業プログラムの受講前、受講後および3ヶ月後の知識等の変化を統計解析によって明らかにし、授業プログラムの効果を検討する予定である。結果は、当該年度内にまとめ、学会や論文等で報告する予定である。 また、昨年度末に準備を終えた教育学部生の生殖の知識に関する調査、および教育学部生を対象とした「不妊症予防教育プログラム」のケースコントロール研究を実施する予定である。 研究を効率的、生産的に進めるために、研究支援者の協力を受ける予定である。また、統計解析、生殖医療、性教育(健康教育)等の各分野の専門家に適宜助言を求めていく予定である。
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Causes of Carryover |
本研究は、授業プログラムの介入による縦断研究であり、計3回の質問紙調査を実施するものである。平成28年度の研究は、概ね順調に進行したものの、1,2回目の質問紙調査(受講前調査および受講後調査)と3回目の質問紙調査(3ヶ月後調査)を、3カ月以上あけることから、3回目の調査が平成28年度内に終了せず、平成29年度の実施となった。したがって、3回目の質問紙調査に必要な支出(質問紙作成、印刷、発送等に関わる支出)が平成28年度内になされなかった。また、研究支援者の協力を得る時間数が少なかったことから、人件費の支出が少額となった。これらのことが、平成29年度使用額が生じた理由と考える。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度は、3回目の質問紙調査(3ヶ月後調査)を計画的に実施すること、研究支援者からの協力をより早い時期から開始するとともに必要時間数確保すること等を通して、人件費・謝金、その他の支出を効果的に行う予定である。
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