2017 Fiscal Year Research-status Report
妊娠中の姿勢と動作様式の個別的変化の成因分析を画期的転倒予防プログラムへ導く研究
Project/Area Number |
15K11664
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Research Institution | Saitama Prefectural University |
Principal Investigator |
須永 康代 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 助教 (00444935)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 妊婦 / バイオメカニクス / 姿勢 / 動作 / 転倒 / 個別プログラム |
Outline of Annual Research Achievements |
29年度は,7名の妊婦を対象に妊娠中の姿勢と起立・歩行動作および定常歩行の計測を行った.妊娠16週,24週,32週と妊娠期間中に計3回の経時的な計測を行ったが,妊娠週数の進行に伴って腹部が突出するにつれて,立位姿勢において重心が前方へ移動し骨盤が後傾するパターンや,逆に骨盤が前傾するパターンなど,対象者によって個人差が生じていた. 動作様式の変化は,椅子からの起立動作において,腹部の突出に伴って屈曲相での体幹屈曲角度が少なくなり,その後伸展相にて膝関節の伸展モーメントが大きくなるパターンや,一方で体幹屈曲角度が大きくなるパターンもみられ,動作時においても個人差が生じていた.膝関節伸展モーメントが増大した場合は下肢への負担が増大し,体幹屈曲角度が増大した場合には腹圧の上昇によって腹部への負担が増大するなどの問題が生じる可能性があり,円滑で安全な動作方法の指導が必要であると考える. さらに,歩行時の遊脚肢における股関節・膝関節屈曲角度は妊娠週数の進行に伴って減少していたことから,クリアランスの低下によるつまずきや転倒のリスクが増大する可能性も示唆された. また妊娠期の主訴として,いわゆるマイナートラブルといわれている腰痛や恥骨部の疼痛,尿失禁などの訴えが聞かれたことから,前述の姿勢や動作様式の変化と身体的変化による症状との関連性を検討し,個別性を重視した姿勢や動作指導,障害予防・改善のための介入プログラムを実施することが重要であると考えられる.よって,当初計画に従って,30年度は妊婦に対し個別的介入プログラムを実施した際の経時的な姿勢・動作の変化の様子について検討を行う.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
募集当初は妊娠経過に問題なく,計測可能であった対象者が,切迫早産等の安静指示により経時的に計測困難となったケースや,協力希望があるものの,設定している計測時期に合わず計測が困難となったケースが生じたことから,対象者数の確保に難渋し,予定よりも進捗状況はやや遅れている状況となっている.
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Strategy for Future Research Activity |
より多くの対象者からの協力を得るため,さらに範囲を広げて引き続き募集を呼びかける.また,本研究の当初予定では,妊娠16週,24週,32週と3回の計測を実施することとしているが,やむを得ず3回の計測が困難となるケースも生じている.本研究では,妊娠中のプログラムの実施とそれに伴う姿勢・動作様式の変化について,経時的に検討を行う点に意義があることから,時期を変更しての計測などの対応を行う予定である.
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Causes of Carryover |
当初予定よりも実際に計測可能であった対象者数が少なかったため,謝礼として購入したクオカードの支出が少なくなった. 30年度使用計画として,引き続きより多くの対象者募集を行うため,謝礼の支出が生じる.また,研究成果発表のための旅費や学会参加費,論文投稿のための校正料や投稿料としての支出が生じる予定である.
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