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2016 Fiscal Year Research-status Report

性暴力被害者支援看護師を活用するための医療システムの構築

Research Project

Project/Area Number 15K11667
Research InstitutionNiigata College of Nursing

Principal Investigator

境原 三津夫  新潟県立看護大学, 看護学部, 教授 (30332464)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) エルダトン サイモン  新潟県立看護大学, 看護学部, 講師 (30512066)
Project Period (FY) 2015-04-01 – 2018-03-31
Keywords性暴力被害者支援看護師
Outline of Annual Research Achievements

SANEの業務のひとつに性暴力被害者の精神的サポートがある。性暴力は被害者の身体のみならず、精神に対しても生涯にわたり大きな傷跡を残す。このため、発生早期に身体的治療が行われるとともに、精神的ケアがなされることが望ましい。早期の介入により精神的傷害を最小にとどめ、慢性化することを予防し、被害者が通常の社会生活を営むことができるようサポートすることが最優先とされ、性暴力被害者に対しては、2次予防および3次予防を中心に対策がとられてきた。
今年度はオーストラリアのビクトリア州メルボルンにあるThe Royal Women's Hospitalの一部門であるCASAハウスを訪問し聞き取り調査を行った。CASAハウスは、性暴力を受けた被害者を24時間体制で支援し、被害者へのカウンセリング、被害者をサポートする友人や家族への電話相談、他の専門職へのアドバイスや教育、公共での性暴力に関する啓発活動等を行っている。CASAハウスの活動のひとつに、中学生・高校生を対象とした性暴力防止プログラムSexual Assault Prevention Program for Secondary Schools (SAPPSS)の開発・実施がある。これは、性暴力に関する知識を深めることにより、男女共に性暴力に関する対応能力を向上させることをねらいとしており、性暴力の発生を防止するために学校全体で取り組む予防プログラムとして位置づけられている。これはいわゆる性暴力の1次予防であり、世界的にも先駆的な取り組みである。CASAハウスの責任者に面談し、性暴力の被害者支援および予防に関する専門的な取り組みについて、その詳細を聞き取り調査という形で情報収集した。社会的な背景が異なるので、わが国における有用性については未知であるが、この資料をもとにわが国での導入に関して検討する予定である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

SANEは1995年に米国看護協会において特定分野として認定されて以来、米国やカナダを中心として活躍している。米国では約20年が経過し、SANE養成プログラムの検証や実務における成果が検証されるようになってきた。2000年以降、米国におけるSANEプログラムの問題点や課題について検証結果が報告されるようになったので、それらを分析しわが国の医療システムにSANEプログラムを導入することが可能であるか、可能である場合に発生する問題点やその解決法について検討を行った。
続いて、性暴力被害者の支援および予防に、病院と行政が協力して取り組んでいるオーストラリアのビクトリア州メルボルンにあるThe Royal Women’s Hospitalの一部門であるCASAハウスを訪問し聞き取り調査を行った。CASAハウスは、性暴力被害者を支援する組織であり、性暴力を受けた被害者を24時間体制で支援し、被害者へのカウンセリング、被害者をサポートする友人や家族への電話相談、他の専門職へのアドバイスや教育、公共での性暴力に関する啓発活動等を行っている。CASAハウスの活動のひとつに、中学生・高校生を対象とした性暴力防止プログラムの開発・実施がある。これは、性暴力に関する知識を深めることで、男女共に性暴力に関する対応能力を向上させることをねらいとしており、性暴力の発生を防止するために学校全体で取り組む予防プログラムとして位置づけられている。CASAハウスの責任者に面談し、性暴力の被害者支援および予防に関する取り組みについて詳細な聞き取り調査を行ったので、今後、わが国におけるSANEの活動について参考にすべき内容の抽出を行った。

Strategy for Future Research Activity

SANEの業務のひとつに被害者の身体的診察や性行為感染症の検査・予防がある。身体的診察や性行為感染症の検査手技はそれほど難しいものではなく、一定の研修を受ければ看護師が行うことに実質的な支障はない。性暴力・性的虐待の被害者が女性の場合は、男性の産婦人科医師に診察や検査をされることで、さらに精神的な負担を課すことになる。これを避けるためには、地域の拠点となる病院にSANEを配置し、SANEが中心となってこのような診察や検査を行うことが望ましい。わが国の場合、日常臨床における看護師の多忙さを考えると、マン・パワーに恵まれている医学部附属病院にSANEの拠点を設け、性暴力・性的虐待被害者が受診した際に、院内のSANEがいつでも対応可能なシステムを作ることが望ましい。しかしながら、性暴力被害者が被害後に最初に受診する医療機関は、3次救急に対応している大学医学部附属病院ではなく市中の2次救急担当の病院がほとんどである。したがって、SANEの拠点を設ける病院としては2次救急担当のわが国の現状に即していることになる。
平成22年に性暴力被害者に対して24時間体制のホットラインを含む総合的支援を提供する性暴力救援センター・大阪SACHICOは、地域の民間の総合病院(阪南中央病院)内に、わが国で初めてのワンストップ支援センターとして活動を開始した。また、平成28年には性暴力救援センター日赤なごや・なごみが名古屋第二赤十字病院に開設された。このような「病院拠点型」のワンストップ支援センターは、わが国では数が少ないものの、SANEはその専門性を医療と相談の両面で発揮することができるので、SANEが活躍する場としても最も適している。「病院拠点型」のワンストップ支援センターを増やすために障害となっている問題を活動中のワンストップ支援センターに焦点をあてて調査する予定である。

Causes of Carryover

今年度はオーストラリアのビクトリア州メルボルンにあるThe Royal Women's Hospitalの一部門であるCASAハウスを訪問し聞き取り調査を行ったが、そのための旅費が節約できたため、次年度に研究費を持ち越すことになった。

Expenditure Plan for Carryover Budget

次年度は、今までの研究の成果を複数の学会および学術雑誌に発表する予定であり、その費用に今年度の残額を充当する予定である。

  • Research Products

    (1 results)

All 2016

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] 女子大学生の性暴力被害―1次予防を考える―2016

    • Author(s)
      境原三津夫,Simon Elderton,坂上奈瑠美
    • Organizer
      第10回日本セーフティプロモーション学会
    • Place of Presentation
      京都市
    • Year and Date
      2016-12-10 – 2016-12-11

URL: 

Published: 2018-01-16  

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