2015 Fiscal Year Research-status Report
トリプルP介入によって発達障害児をもつ母親の子育てレジリエンスは向上するか
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15K11672
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Research Institution | Fukuoka Prefectural University |
Principal Investigator |
江上 千代美 福岡県立大学, 看護学部, 准教授 (50541778)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 美智子 福岡県立大学, 看護学部, 教授 (30249700)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 養育レジリエンス / 発達障害児 / 母親 / トリプルP(認知行動療法) |
Outline of Annual Research Achievements |
発達障害児をもつ母親を対象に、Positive parenting program(以下、トリプルP)による介入を行い、トリプルPの受講による母親のレジリエンスの変化を明らかにすることを目的とした。対象者は発達障害の診断のついた子どもの母親44名であった。トリプルPは全9回のプログラムであり、受講前、受講中、受講後に養育レジリエンスの調査を行うために、質問紙の養育レジリエンス尺度を用いて行った。この尺度は子どもの特徴理解、認知した社会的サポート、前向きな子育ての3つのサブスケールから構成されている。全29項目から構成されており、参加者は1(まったくそう思わない)から7(強くそう思う)までの7段階について回答した。数値が高いほど養育レジリエンスは高い。養育レジリエンスは時期において、有意な差が認められた(p<.001)。受講前は受講後より有意に低く(p<.001)、5セッションは受講後より有意に低かった(p<.001)。子どもの特徴理解において、時期の主効果が認められた(p<.001)。受講前は5セッション(p<.05)、受講後(p<.001)より有意に低く、5セッションは受講後より有意に低かった(p<.001)。認知した社会的サポートにおいて、時期の主効果が認められた(p<.001)。受講前は受講後(p<.01)より有意に低かった。前向きな子育てにおいて、時期の主効果が認められた(p<.001)。受講前は受講後より有意に低く(p<.01)、5セッションは受講後より有意に低くかった(p<.05)。養育レジリエンスはトリプルPのセッションをとおして向上するために、9回のセッションが必要であることが示唆された。発達障がいの子どもをもつ母親の養育レジリエンスの向上に、トリプルPによる介入の有効性が示唆された。今後は受講後の養育レジリエンスの維持についても検討が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
27年度の計画は発達障害の子どもをもつ親にトリプルPを実践し、受講前、受講中、受講後の養育レジリエンスの変化を検討することであった。対象者44名を調査し、結果が得られたために順調に進展しているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は27年度同様に、発達障害をもつ母親を対象に、養育レジリエンスの変化を継続的に検討することに加え、28年度では養育レジリエンスと養育態度やストレスコーピング、ストレス(コルチゾール)、子ども行動等を併せて検討する予定である。
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Causes of Carryover |
養育レジリエンスとトリプルPとの関係について検討した結果を踏まえて、連携協力者でもある開発者のマットサンダース教授が主催する学会に参加し、今後の課題を含めて討論する予定であった。しかし、参加することができずに、旅費、参加費等が残る結果となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
28年度は27年度の結果を論文にするための、論文校正および学会参加を計画している。
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