2016 Fiscal Year Research-status Report
トリプルP介入によって発達障害児をもつ母親の子育てレジリエンスは向上するか
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15K11672
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Research Institution | Fukuoka Prefectural University |
Principal Investigator |
江上 千代美 福岡県立大学, 看護学部, 准教授 (50541778)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 美智子 福岡県立大学, 看護学部, 教授 (30249700)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 養育レジリエンス / 母親 / トリプルP / 発達障害児 / ストレス / 認知行動療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】発達に課題のある子どもをもつ養育者を対象に、養育レジリエンスを向上する目的でトリプルPによる介入支援を行い、その効果を検討した。【方法】研究協力者は発達に課題をもつ3歳から12歳の子どもの母親であった。研究協力者は9回の連続講座で1回の受講時間は2時間30分のトリプルP(SSTP)を受講した。参加者にはトリプルP受講の評価として質問紙と唾液採取の協力を求めた。質問紙は①養育レジリエンス尺度(PRQ)②子育てと家族調整尺度(PAFAS)③子育てのスタイル(PS)④子どもの行動・感情への自己効力感尺度(CAPES-DD)および唾液中のコルチゾールである。久留米大学倫理委員会の承認を得て実施した。【結果】PRQにおいて、受講前より受講中(p<.001)と受講後(p<.001)は有意に上昇した。PAFASにおいて、受講前より受講中(p<.001)と受講後(p<.001)、受講中より受講後は有意に改善した(p<.001)。PSにおいて受講前より受講後は有意に改善した(p<.001)。CAPES-DDにおいて、受講前より受講中(p<.001)と受講後(p<.001)、受講中より受講後は有意に改善した(p<.001)。また、親の自己効力感は受講前より受講中(p<.001)と受講後(p<.001)、受講中より受講後は有意に上昇した(p<.001)。唾液中のコルチゾールは受講前より受講後の起床時コルチゾール反応が有意に上昇した(p<.05)。【考察】トリプルPによる介入により、子育て方法の改善、家族関係の改善、子ども感情・行動の問題の減少と親の自己効力感の上昇およびストレスの減少が示唆された。と同時に、養育レジリエンスも向上しており、トリプルPの受講によるものと考えられた。今後はトリプルPによる介入を継続し、養育レジリエンスを高める支援の確立およびそのメカニズムを目指す必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度計画は以下である。当初の予定は1回の受講者は20名を定員とするとしていたが、トリプルPによる開催定員は10名となっているために受講者見込み数は減少したものの、ほかは予定どおり進捗できた。1)トリプルP実施:(1回の参加者10名まで)依頼のあった母親を対象に、トリプルPを28年度4回/年実施する。2)トリプルP受講によるレジリエンスおよびレジリエンス変化に伴う効果(受講前・中・後・1年後調査)の調査を実施する。調査は予定どおり、「子育てレジリエンス尺度」「子育て方法尺度」「育児ストレスコーピング尺度」「唾液中ストレスホルモン(コルチゾール)」「子どもの行動尺度(親用)」を行った。 3)各測定項目のデータ入力および分析を行い、発表する。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度計画は以下であり、当初の予定よりトリプルP開催回数を増やす予定である。 1)トリプルP実施:(1回の参加者10名まで)依頼のあった母親を対象に、トリプルPを29年度の当初計画3回の予定を4回/年に増加して実施する。2)トリプルP受講によるレジリエンスおよびレジリエンス変化に伴う効果を検討するために受講前・中・後・1年後調査を行う。調査項目は「子育てレジリエンス尺度」「子育て方法尺度」「育児ストレスコーピング尺度」「唾液中ストレスホルモン(コルチゾ-ル)」「子どもの行動尺度(親用)」である。3)各測定項目のデータ入力および分析を行い、発表する。4)論文化とまとめ(平成29年度)を行う。これまでに行った発達障害児をもつ親のレジリエンス向上を目指したトリプルPの介入効果について論文化する。5)最終的には、これらすべての結果について最終報告書を作成する。
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Causes of Carryover |
28年度の予定では旅費としてHelping Families Change Conferenceへの参加として20万円を予定していたが、大学業務と重なり出席できなかった。トリプルP親用テキストを研究費その他の予算から支出する予定であったが、当初計画を変更し、自費購入してもらっている(テキスト入手目的の参加を避けるために)。また、託児料金が当初の見込み金額よりも高く見積もられたため、託児無しでトリプルPを開催している。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
29年度はトリプルPの開催数を3回/年予定から4回/年予定へと1回増やして実施する予定である。連続講座(9回)が増えることに伴う人件費の増額を予定している。トリプルP ファシリテーター1名の謝金2万、2万×9回×4回/年合計72万を計画している。また、国際学会への参加発表を予定している(14th Asian and Oceanian Congress of Child Neurology)。
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Research Products
(1 results)